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痛恨
「痛恨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
痛恨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
を一掃した快味である。わが家の水上僅かに屋根ばかり現われおる状を見て、いささかも
痛恨の念の湧かないのは、その快味がしばらくわれを支配しているからであるまいか。 ....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
眼を買い、両方の病気をもってまた僕自身の衰弱を土培ったようなものだ。失敗、疲労、
痛恨――僕一生の努力も、心になぐさめ得ないから、古寺の無縁塚をあばくようであろう....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
れ翌十日午前九時死去す、断腸痛惜の至りなり、花を咲かす一歩手前にて、巨星の急逝は
痛恨の次第なり。 雪折れの音凄じや大桜 享年四十六歳。 新探偵雑誌LOO....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
公判廷を出て東京刑務所に護送される途すがら、自動車の中で支倉は顔面蒼白、或いは
痛恨し、或いは憤懣し、意気頗る上らなかった。彼が最後に一縷の望みをかけていた庄司....
「ルバイヤート」より 著者:小川亮作
った者こそ幸福だ! (24) 地を固め天のめぐりをはじめたお前は なんという
痛恨を哀れな胸にあたえたのか? 紅玉の唇や蘭麝の黒髪をどれだけ 地の底の小筥に入....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
へゆかぬうちに、夜が明けてしまう。おい俺たちはまんまと失敗ったぞ」 まったく、
痛恨とはこの事であろう。みすみす、目前にみながら此処が限度となると、両様意味はち....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
なことは知れている。石の下を心得ているかエ」 「ハ。それを心得ませぬのが、まこと
痛恨の至りで」 「石の下とは、こんな手筋だ」 海舟はサラサラと並べてみせた。そ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
だ。背後が頻りに顧みられる。背後には何があるのであろう。おれは絶え絶えに声に立つ
痛恨をそこに認めるばかりである。目も眩むような光明劇は前方で演ぜられる。おれには....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
で第一番に皆さんにお知らせしたいのは、この笛の音なのだが、音を雑誌に出せないのが
痛恨事です。ただ、 「もういいかアーい」 「まアだだよーオ」 という隠れんぼの....
「回想録」より 著者:高村光太郎
れて亡くなられた杖とも柱とも頼む聖徳太子を慕って、何だって亡くなられたろうと思う
痛恨な悲憤な気持で居ても立ってもいられない思いに憑かれたようになって拵え、結果が....
「智恵子の半生」より 著者:高村光太郎
産した。二本松町の大火。実父の永眠。相続人の遊蕩。破滅。彼女にとっては堪えがたい
痛恨事であったろう。彼女はよく病気をしたが、その度に田舎の家に帰ると平癒した。も....
「役者の一生」より 著者:折口信夫
ったのである。役者として己を鍛錬するための本道から遠ざかったことは、源之助一代の
痛恨事であったと思う。 歌舞妓芝居もこの頃では、「古典劇」などと書かれているのを....
「チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
つ事ばかり考えていてはいけないよ。 チチアネルロ (傷ましく笑いながら。)君は、
痛恨というものが、永久に一事を思い煩うこと――結局色も香もなく空虚になってしまう....
「棚田裁判長の怪死」より 著者:橘外男
つかけたこともない父が、人前もなくこんなにも罵りつけているのは、姉の死を悼む父の
痛恨の一種だったかも知れません。 しかも、突っ立って呶鳴っている父を制止しよう....
「革命の研究」より 著者:大杉栄
たつぎの革命にもやはり欠けそうなのだ。誰か、過去の諸革命を研究して、つぎのような
痛恨の言葉を発しなかったものがあろう。「あれほどの努力があり、あれほどの崇高い熱....