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「痛苦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

痛苦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
突貫紀行」より 著者:幸田露伴
の加え得る罪は何かあらん。事を決する元来|癰《よう》を截《き》るがごとし、多少の痛苦は忍ぶべきのみ。此地の温泉は今春以来かく大きなる旅館なども設けらるるようなり....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
は単に大きな穴を留むるのみで、逞しい頬骨が最と悔しげに隆起して居るのも、其の時の痛苦の想像せられる種になる。 爾して猶だ驚いた一事は、骸骨の右の手が、堅く握っ....
単独行」より 著者:加藤文太郎
界に距っており、|氷の労作は私には肉体的にも精神的にも余りにも大きな負担であり、痛苦と屈服をのみ与えこそすれ、なんら戦闘意識といったものすら起し得ないからである....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
う、後には一度出獄がしたいと云う果敢ない望みから闇黒な牢獄の中に座して、あらゆる痛苦を征服し、世を呪い人を呪って生きつゞけた、忍苦と生存慾とを思うと、その執念の....
死生」より 著者:幸徳秋水
き死、諸種の妄執・愛着を断ち得ざるよりする心中の憂悶や、病気や負傷よりする肉体の痛苦を伴う死である、今や私は幸いに此等の条件以外の死を遂ぐべき運命を享け得たので....
恋愛曲線」より 著者:小酒井不木
十分認めてくれるであろう。尤も君は多くの女に失恋させた経験こそあれ自身には失恋の痛苦を味わったことがなかろうから、或は同情心を起してくれぬかもしれない。全く君は....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
には潰《くず》るる習いだから、政宗だとて病気にはなろう。虫気というは当時の語で腹痛苦悩の事である。氏郷及び氏郷の諸将は之を聞いて、ソリャコソ政宗めが陰謀は露顕し....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
お通は今に一年間、幽閉されたるこの孤屋に処して、涙に、口に、はた容儀、心中のその痛苦を語りしこと絶えてあらず。修容正粛ほとんど端倪すべからざるものありしなり。さ....
死刑の前」より 著者:幸徳秋水
死、諸種の妄執・愛着をたちえぬことからする心中の憂悶や、病気や負傷よりする肉体の痛苦をともなう。いまやわたくしは、これらの条件以外の死をとぐべき運命をうけえたの....
二合五勺に関する愛国的考察」より 著者:坂口安吾
の拷問もあったようだ。ところが拷問によっては、いっかな棄教せぬ。例の祈祷を唱え、痛苦に堪え、痛苦の光栄に陶酔するものゝごとくますます信仰をかためるというぐあいで....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
一句である。鶴見はこの一句のために、その一生を賭けていたといっても好い。人知れぬ痛苦は彼の心身を腐蝕していた。そして歪められたのは彼の性情であった。 この市井....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
おける、そしてこの社会における孤独と自由の破産――実際、彼女の死顔を見たものは、痛苦の本質そのものに面接したようにぞっとしたという。 自然人 お寺の....
活人形」より 著者:泉鏡花
迷い、運|拙うしてまた旧の座敷牢に入り終んぬ。かかりしほどに身は疲れ、小指の疵の痛苦劇しく、心ばかりは急れども、足|蹌踉いて腰|起たず、気さえ漸次に遠くなりつ、....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
待っている。 さあ、「時」の早瀬に、事件の推移の中に この身を投げよう。 受用と痛苦と、 成就と失敗とが あらん限の交錯をなして来るだろう。 活動して暫くも休ま....
死児を産む」より 著者:葛西善蔵
三四時ごろに起きては十二時近くまで寝床の中で酒を飲む。その酒を飲んでいる間だけが痛苦が忘れられたが、暁方目がさめると、ひとりでに呻き声が出ていた。装飾品といって....