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「痩躯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

痩躯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
熊の出る開墾地」より 著者:佐左木俊郎
かいこんじょう》から奥暗い原始林の中へ消えて行った。開墾地一帯の地主、狼のような痩躯《そうく》の藤沢が、開墾場一番の器量よしである千代枝を伴《つ》れて、札幌の方....
鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
の邂逅が、葉子が熱海へ梅を観に行った途上であった為めか、あるいは、麻川氏の秀麗な痩躯長身を白梅が聯想させるのか、または麻川氏の心性の或る部分が清澄で白梅に似てい....
聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
れると、ルキーンはアッと叫んでドドドッと走り寄った。半ば開かれた扉の間に、長身|痩躯の白髪老人が前跼みに俯伏して、頤を流血の中に埋めている。 「ああ、ラザレフ※....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
五十位のまだ充分この世に未練のありそうな男盛りだろうと思われたのに、もう九十近い痩躯鶴のごとき灰汁の抜けた老体なのでした。しかも、その灰汁の抜け工合の程のよさ!....
少年探偵長」より 著者:海野十三
ら次の部屋へとびこんでいった。 急に部屋はしずかになった。 残っているのは、痩躯鶴のような机博士と、それからもう一人は、椅子車にしばりつけられた戸倉老人だけ....
不思議なる空間断層」より 著者:海野十三
口の鉄扉がぎいーっと開いた。そして私の予期したとおり手錠をもった看守長に続いて、痩躯鶴のような典獄さんと、それから大きな山芋に金襴の衣を被せたような教誨師とが静....
獄中消息」より 著者:大杉栄
めて、今はもう、石竹、なでしこの類が千紫万紅を競うている。そして、この花間を蒼面痩躯の人達が首うなだれておもむろに逍遙している。僕は折々自分のからだのはなはだ頑....
十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
豆殿、私はこう思うので、音物は政治の活力だとな」こう云ったのは六十年輩の、長身、痩躯、童顔をした、威厳もあるが卑しさもあり、貫禄もあるが軽薄さもある、変に矛盾し....
柳営秘録かつえ蔵」より 著者:国枝史郎
な声がした。 2 鬼小僧はギョッと驚いて、声のした方へ眼をやった。鶴髪白髯長身痩躯、眼に不思議な光を宿し、唇に苦笑を漂わせた、神々しくもあれば凄くもある、一人....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
生を誰れ彼れと思い浮かべては、追慕の情に打たれる。 羽場栄太郎という校長さんは痩躯で目の鋭い精神家であった。私の町に二十年勤続し、筋のいい漢学者であった。この....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
、「カッ」とばかりに浴びせかけた時には、どこをどのようにいつ飛んだものか、長身|痩躯の彼の体は、賊勢の只中に飛び込んでいた。またもやピューッという風を切る音、同....
春宵因縁談」より 著者:佐藤垢石
れは七十余歳の老骨に、死所を与えられたものである。死華であろう。これからは、この痩躯に鞭うって報知社再興のためには、倒るとも努力を惜しまないつもりだ。幸いにして....
美音会」より 著者:佐藤垢石
』と言う。 見ると直ぐ左のボックスに腰をかけて、居眠りをしている人が柳沢伯だ。痩躯に薄茶の背広を着け、赤靴をはいた貴公子だ。 いよいよ大隅の娘景清が始まった....
明暗」より 著者:岡本かの子
を探って、ステッキをあしらって歩く眼明きの紳士風に、割り合いに軽快に歩けた。長身痩躯、漆黒な髪をオールバックにした三木雄は立派な一個の美青年だった。眼鏡の下の三....
女の膝」より 著者:小山内薫
何心なく眼が覚めて、一寸寝返りをして横を見ると、呀と吃驚した、自分の直ぐ枕許に、痩躯な膝を台洋燈の傍に出して、黙って座ってる女が居る、鼠地の縞物のお召縮緬の着物....