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痴情
「痴情〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
痴情の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「酒中日記」より 著者:国木田独歩
た描く。空想から空想、枝から枝が生《は》え、殆《ほと》んど止度《とめど》がない。
痴情の果から母とお光が軍曹に殺ろされる。と一つ思い浮かべるとその悲劇の有様が目の....
「交尾」より 著者:梶井基次郎
それから彼らは交尾した。爽《さわ》やかな清流のなかで。――しかし少なくとも彼らの
痴情の美しさは水を渡るときの可憐さに如《し》かなかった。世にも美しいものを見た気....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
いたくらいでやけになる柳吉が、腹立たしいというより、むしろ可哀想で、蝶子の折檻は
痴情《ちじょう》めいた。隙を見て柳吉は、ヒーヒー声を立てて階下へ降り、逃げまわっ....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
て御自分が先に立って秀子を無事の地に逃れさせる議を持ち出すなどとは、併しナニ茲が
痴情の然らしむる所でしょう、私としても貴方の地位に立てば貴方と同様のことを目論む....
「振動魔」より 著者:海野十三
の責任を、主治医の白石博士に向けるように故意にさまざまの策動をしたり、博士夫人が
痴情関係から加害でもしたかのように仕むけました。 だが、すべては私達商売人にと....
「白蛇の死」より 著者:海野十三
出され、しかも何者にかその四肢を切断された上持去られている。考えように依っては、
痴情の怨みか何にかでお由を殺した最初の犯人が、なお飽き足らずに屍体を運ぶ二人の後....
「電気看板の神経」より 著者:海野十三
者の肢勢から考えて死後に於て加えられたものとする方が理窟に合う。勿論、兇行原因は
痴情関係によることは明らかである。しかしながら殺人犯人の見当は中々はっきりついて....
「ネオン横丁殺人事件」より 著者:海野十三
形になった。 「どうだ帆村君」大江山警部はにこやかに呼びかけた。 「これは単なる
痴情関係で、一平が女給ゆかりの身代りにこの寝床にもぐっていて、頃合を見はからって....
「蠅男」より 著者:海野十三
を持っていれば、パラパラと相手の胸もとを蜂の巣のようにして抛って逃げます。なにも
痴情の果ではあるまいし、屍体を素裸にして、ストーブの中に逆さ釣りにして燃やすなん....
「ある抗議書」より 著者:菊池寛
晴したいと思わずには居られませんでした。もし、姉夫婦の殺された原因が、遺恨だとか
痴情などでありましたら、それは姉夫婦にも何等かの点に於て、少しは責任があることで....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
か」 転んでも只は起きない性分の長谷戸検事であった。 「知らんですなあ、兄貴の
痴情を監視するつもりはなかったもんですからね」 検事は亀之介から連打されている....
「岡本一平論」より 著者:岡本かの子
許容を持ち得るとのことです。一面から云えば氏はあまり女性に哀惜を感ぜず、男女間の
痴情をひどく面倒がることに於て、まったく珍らしい程の性格だと云えましょう。それ故....
「無毛談」より 著者:坂口安吾
れて、返答しない。ぶつなり、殺すなり、勝手にしろ、という突きつめた最後の構えで、
痴情裏切りの果とか、命にかけても身はまかされぬと示威する構えで、小娘のただの構え....
「石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
事はない。秋森家の双生児と殺された女との醜関係から、警察が双生児に持たせた犯罪の
痴情的動機を、僕は逆にそうして極めて自然に、女の夫である戸川弥市に持たせたまでさ....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
、なやましい、而かもそれ故にこそ魅力があり、いく度繰り返しても疲れを知らない恩愛
痴情、恨み、嫉み、というような普通の人情の触手は生れつき退化し、それによって人と....