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痴態
「痴態〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
痴態の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「交尾」より 著者:梶井基次郎
い。この互いに絡《から》み合っている二匹の白猫は私をして肆《ほしいまま》な男女の
痴態を幻想させる。それから涯《はて》しのない快楽を私は抽《ひ》き出すことが出来る....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
なる、少し満足すればすぐ総てを忘れる。思慮のある見識のある人でも一度恋に陥れば、
痴態を免れ得ない。この夜二人はただ嬉しくて面白くて、将来の話などしないで寝てしま....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
俗の香巷に狂ふ。 あゝ止みなんか、また前日の意気なきや。 終に止みなんか、卿等の
痴態! さて最後に咄! という字を、一字書いて、封筒に入れてみたが、これでは友....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
より足取りは狂いがちであった。独りで踊りを持て扱い引込みもつかなくて、さんざんに
痴態を演じているうちにも、心は次第に白けて来たが、転身の契機もそうやすやすとは来....
「戦雲を駆る女怪」より 著者:牧逸馬
軍人たちである。めいめい自分の、そして自分だけの情婦と信じ込んでいる女が、寝台の
痴態《ちたい》において、優しく話しかける。時として、可愛いほど無智な質問があった....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
一人も好意を持っておらんのです、毛唐のくせに、日本の女を自由にして、誰はばからず
痴態を演じている、それを朝夕見聞して、他の乗組が不平を鳴らすのは無理もない。船長....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
水――」 「水――」 「二人は苦しいねえ、真さん」 「二人は嬉しいねえ、豊さん」
痴態を極めた男女の姿を眼前に見ているお銀様。思案に余って、身の上判断を請うと言っ....
「魔都」より 著者:久生十蘭
あろう。ゆったりと椅子の脊に身を凭らせながら柔和な眼を微笑えませて、泰然と鶴子の
痴態に見入っている。とすれば鶴子が焦れったがるのも無理はないのである。
鶴子は....
「ばけものばなし」より 著者:岸田劉生
畑道とかを通る。かねがね物の本でみたり人に聞いたりした狐に化かされた人の話やその
痴態やらを思い出す。あの田の中へ入っておお深い深いといっていたそうだなど思ってい....
「馬琴の小説とその当時の実社会」より 著者:幸田露伴
ことを望みつつ著述に従事したところの式亭三馬の、その写実的の筆に酔客の馬鹿げた一
痴態として上って居るのを見ても分ることで、そしてまた今日といえども実際私どもの目....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
。石川豊信《いしかわとよのぶ》らと並んで頗《すこぶ》る妖艶《ようえん》なる婦女の
痴態《ちたい》を描きまた役者絵も尠《すくな》しとせず。然れどもこの時代には役者絵....
「澪標」より 著者:外村繁
く子が私を愛したばかりに、このように彼女を辱めたことになる。しかも性懲りもなく、
痴態の限りをつくしている。人間の愛とは、所詮、こんなものか。人に嘲られ、人に罵ら....