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「痼疾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

痼疾の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
《あくらつ》な手で思うさま翻弄《ほんろう》して見せるのをながめて楽しむのが一種の痼疾《こしつ》のようになった。そして葉子は木村を通して自分の過去のすべてに血のし....
或る女」より 著者:有島武郎
足のひどく冷えるのを注意されたりすると不思議に思った。肩の凝るのは幼少の時からの痼疾《こしつ》だったがそれが近ごろになってことさら激しくなった。葉子はちょいちょ....
行人」より 著者:夏目漱石
ひばち》で、初冬《はつふゆ》の寒さから全然隔離されているように見えた。自分は彼の痼疾《こしつ》が秋風の吹き募《つの》るに従って、漸々《ぜんぜん》好い方へ向いて来....
ある抗議書」より 著者:菊池寛
義兄の角野一郎は、大正三年の三月迄東京で雑誌記者を致して居りました。が、その頃|痼疾の肺がだんだん悪くなりかけましたので、転地療養の為、妻の実家即ち私の家の所在....
」より 著者:島崎藤村
三吉に紹介した。この老人は、直樹の叔父にあたる非常な神経家で、潔癖が嵩じて一種の痼疾のように成っていたが、平素癇の起らない時は口の利きようなども至極丁寧にする人....
良人教育十四種」より 著者:岡本かの子
入るのだから何でも手っ取り早く先手を打って、先に望むことをしてやれば悦ぶものだ。痼疾のあるのは別だが、そうでなくて年中あっちが悪い、こっちが悪いとぐずぐずしてい....
震災日記より」より 著者:寺田寅彦
村の家へ行った。崖下の田圃路で南蛮ぎせるという寄生植物を沢山採集した。加藤首相|痼疾急変して薨去。 八月二十五日 晴 日本橋で散弾二|斤買う。ランプの台に入れ....
ヘヤーピン一本」より 著者:豊島与志雄
で岩木から聞いたところによると、彼女は嘗て肋膜を病み、それから引続いて神経衰弱の痼疾になやんでいるとか。 俺の名刺を見て、彼女はひどく驚いたらしい。 「まあ、....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
という。 従来の職人は実に忌むべき癖を持っていた。いわゆる職人根性とて、一種の痼疾となっているものである。すなわち労働時間と休み時間の区別なくて、甚だ自堕落で....
人生三つの愉しみ」より 著者:坂口安吾
る。そうかと思うと系図などを持ちだして神がかり的なインネンをつけたり、何千年来|痼疾の精神病者の感濃厚な怪人物が多い。 健全な精神と、健全な肉体は別なものだ。....
「可愛い女 犬を連れた奥さん 他一編」あとがき」より 著者:神西清
を経験していた戯曲の世界へ筆を転じようとする年ごろであり、彼の生活の上では、胸の痼疾がようやく決定的な段階に入って、療養にいっそう不断の意をもちいなければならな....
迷信解」より 著者:井上円了
だちに神となし薬となすことのできぬは、分かりきったことである。これを伝染病にあれ痼疾にあれ、何病にも用いて効能あるように思うは愚の至りではないか。御札、御守りも....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
である。新蔵がどんな俳優であったかということは、繰返して説明するまでもあるまい。痼疾の眼病がいよいよ重くなると共に、かれの技芸はいよいよ進歩するように思われたが....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
多い。初期の肺病患者には漢方でも相当の手術の出来るものですから薬を施すけれども、痼疾となってとても癒らぬ奴には薬をやらん。ただ坐禅を勧めあるいは念仏を唱える事を....
雷嫌いの話」より 著者:橘外男
だったということになるのであるが、私は誰にでも、逢う人もって、雷のことを聞くのが痼疾だから、もちろんこの女を掴まえても、忘れずに雷のことだけは、根掘り葉掘り聞い....