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瘴気
「瘴気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
瘴気の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
神論者、哲学上の物質主義者……」
夜更《よふ》けの往来は靄《もや》と云うよりも
瘴気《しょうき》に近いものにこもっていた。それは街燈の光のせいか、妙にまた黄色《....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
だと云うじゃありませんか。するとほどなくあの婆娑羅の神が、まるで古沼の底から立つ
瘴気《しょうき》のように、音もなく暗の中へ忍んで来て、そっと女の体へ乗移るのでし....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
からは、熟《う》れいきれ切った、まったく堪《たま》らない生気が発散していて、その
瘴気《しょうき》のようなものが、草原の上層一帯を覆いつくし、そこを匂いの幕のよう....
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
もちあがる以前から、もう既に赤沢脳病院の朽ちかけた板塀の内には、まるで目に見えぬ
瘴気の湧きあがるように不吉な空気が追々色を深め、虫のついた大黒柱のように家ぐるみ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
矢木一族の表面には沼気ほどの泡一つ立たなかったのだが、恐らくそれと云うのも、その
瘴気のような空気が、未だ飽和点に達しなかったからであろうか。否、その時すでに水底....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
である。 第二日――。 一行全部ひどい下痢と不眠のなかで明けていった。湿林の
瘴気がコレラのような症状を起させ、一夜の衰弱で目はくぼみ、四人はひょろひょろと抜....
「南路」より 著者:宮本百合子
るのである。 沼沢地が多い。そこには、底知れず蒼い藻が生え蔓っている。いかにも
瘴気の立ち迷っていそうな処に、丸木を組んだ小屋がある。 チヤシを結って、木立ち....
「地は饒なり」より 著者:宮本百合子
と、丁寧に書きつけた。そして、反抗や焦燥や、すべてほんとの心の足並みを阻害する
瘴気《しょうき》の燃《た》き浄められた平静と謙譲とのうちに、とり遺された大切な問....
「人口論」より 著者:マルサストマス・ロバート
ればならぬと想像し得よう。女子は、家庭に坐っていることが多いのであるから、炎熱や
瘴気《しょうき》の苦しみを受けることが少ないであろう。彼らは一般に不節制から生ず....
「海豹島」より 著者:久生十蘭
ない陰鬱な島の輪郭がぼんやりとあらわれだしてきた。しかし、それも束の間のことで、
瘴気のような不気味な霧がまた朦朧と島の周りを立ち迷いはじめ、あたかも人間の眼に触....
「「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
孤島、といえばやはり土が要る。たいていは、大陸の中央か大峻険の奥。密林、氷河、毒
瘴気の漂う魔の沼沢と――すべてが地上にあって海洋中にはない。ただ、あるといえば藻....