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「癌腫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

癌腫の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
淫売婦」より 著者:葉山嘉樹
いた。そして、頭部の方からは酸敗《さんぱい》した悪臭を放っていたし、肢部からは、癌腫《がんしゅ》の持つ特有の悪臭が放散されていた。こんな異様な臭気の中で人間の肺....
二人の友」より 著者:森鴎外
それから四五年の後に私は突然F君の訃音《ふいん》に接した。咽頭《いんとう》の癌腫《がんしゅ》のために急に亡《な》くなったと云うことである。....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
ろりとした眼から涙の様なものを落して居た。 六 然しながら彼癌腫の様な家の運命は、往く所まで往かねばならなかった。 己が生んだ子は己が処置....
破片」より 著者:寺田寅彦
中にその有機系と全然無関係な細胞組織が何かの間違いでできることがある。やっかいな癌腫はそういう反逆者の群れでできるものらしい。有機系とはなんの交渉もないものが繁....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
つつある多年の矛盾、撞着、滑稽、紛糾、圧迫、争闘、それが膿瘡《のうそう》となり、癌腫《がんしゅ》となって、今日まで呪われて来た報いが、あんな坊主にわかってたまる....
病院風景」より 著者:寺田寅彦
れたり、動脈へゴム管を挿されたり、病菌を植付けられたり、耳にコールタールを塗って癌腫の見本を作られたりする。 谷を距てた上野の動物園の仲間に比べるとここのは死....
中支生活者」より 著者:豊島与志雄
に於てこの根本の考察を誤ったならば、揚子江は常に経済的条虫であり上海は常に経済的癌腫だとの状態が、支那から除去されないだろう。 * 治安工作の方面....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
う病気であるかを尋ねた。なかなか教えてもらえなかった。けれどついに、マルトは腸の癌腫《がんしゅ》で死にかかってるのだということを知り得た。もう数か月前からの病気....
島木赤彦氏」より 著者:芥川竜之介
と常談のように声をかけたりした。この神経痛と思ったものが実は後に島木さんを殺した癌腫の痛みに外ならなかったのである。 二三箇月たった後、僕は土屋文明君から島木....
話の種」より 著者:寺田寅彦
またエッキス線で照らして皮膚や血液の病を癒す事も往々あるが、しかしこの線のために癌腫を生じた例があるから注意を要するとの事。次に電気浴の新しいやり方は盥四つに四....
肌色の月」より 著者:久生十蘭
阪の間で消滅し、栂尾ひろという無機物のような女性が誕生した。久美子のつもりでは、癌腫という残酷な病気を笑ってやる戯れのつもりだったが、抜きさしのならない嘘になっ....
安死術」より 著者:小酒井不木
苦痛を徒らに長びかすということは果して当を得た処置ということが出来るであろうか。癌腫の患者などの臨終には、むしろモルヒネの大量でも与えて、苦痛を完全に除き、眠る....
三つの痣」より 著者:小酒井不木
ましたので、腸管拷問法が成功しない時の予備として、助手に耳打ちして、その頃教室で癌腫発生の研究に使用して居たコールタールの小罎と、それを塗る短い筆とを取って来て....