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癒える
「癒える〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
癒えるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
していた。三人の生活――お祖母さまには、酷迫さがなくなる。末起の、心の傷もやがて
癒えるだろう。そして二人の愛は、浄らかな至高なものとして続くだろう。 それに何....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
見えた。それこそ実際男にとっては、有難い笑いと云わなければならない。瞬間に苦労が
癒えるからであった。が、それもやらなくなった。 彼女は不思議な女であった。千里....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
日は眠らずに考え明かしました。あの霜の白く置いている冷たい草の上で私の病気の早く
癒えるようにと、その昔あのラザロを蘇らしたまいしキリストに熱い祈りを捧げてくださ....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
いもない、と云って真逆に死ぬる訳にも行かぬから、当分此の国を立ち去って、心の傷の
癒えるまで外国を旅行しよう、父から遺された財産が尚だ幾分か存して居るから其の中に....
「パルチザン・ウォルコフ」より 著者:黒島伝治
負傷した少尉の脚に繃帯をした。少尉の傷は、致命的なものではなかった。だから、傷が
癒えると、少尉から上司へいい報告がして貰える。看護卒には、看護卒なりに、そういう....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
り合っているかのようである。この老爺は、牛が塩を嘗めて清水を飲みさえすれば、病も
癒えるということまで知悉していた。月経期の牝牛の鳴声まで聞き分ける耳を持っていた....
「地上」より 著者:島田清次郎
東京へ出して、大きな邸から東京の自由な学校へ通わしたならあるいは平一郎の心の傷も
癒えるかも知れない。しかし、相手は「天野一郎」の「天野栄介」だ。自分達にとっては....
「はつ恋」より 著者:神西清
ことができなかったし、そう手っとり早く勉強にかかることもできなかった。心の痛手が
癒えるまでには相当の時間が要ったのである。とはいえ、父その人に対しては、わたしは....
「蛆の効用」より 著者:寺田寅彦
かしておくと、化膿してそれに蛆が繁殖する。その蛆がきれいに膿をなめつくしてきずが
癒える。そういう場合のあることは昔からも知られていたであろうが、それが欧州大戦以....
「北支点描」より 著者:豊島与志雄
の大木のもとの粗末な卓子に倚って、粗末な茶をすすっていると、精神の疲労はたちまち
癒えるし、元気な者は恋を語ってもよかろう。鳩の羽音に驚いて立上れば、低い石塀を越....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
出した自分の醜さに対して――人に顔向けのできぬ、その時の醜さに対して、自分の心の
癒えるように、したかった。
(もっと、落ちついて――あの、小太郎への説法ぐらいに....
「探偵小説アルセーヌ・ルパン」より 著者:婦人文化研究会
てもらったところで、死んだ夫が生き返るわけはないエジス夫人は一度受けた胸の痛みが
癒えるはずはなかった。泣くなく野辺《のべ》の送りをすませた夜、三人の探偵は引き取....
「人口論」より 著者:マルサストマス・ロバート
って、必ずや幾千の人々に最も痛切な苦痛を与えることとなる。そしてその傷がもう一度
癒えるまでには、長い時間が経ち、多くの窮乏に耐えなければならぬのである。
『私が....
「お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
た。 気が抜けて崩れる様に座についた二人はだまったまま酒をつぎ合って喉の渇きの
癒えるまで呷りつづけた。 暖味が快く体中に廻って、始めて、 「いやどうもひど....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
も好いというのである。手跡はまだ少い人らしい。 わたくしは曠しく終吉さんの病の
癒えるのを待たなくてはならぬことになった。探索はここに一頓挫を来さなくてはならな....