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登り坂
「登り坂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
登り坂の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の夜」より 著者:芥川竜之介
町離れた、灯《ひ》の多い町へ氷を買いに行った。その帰りに人通りの少ない屋敷続きの
登り坂へかかると、誰か一人《ひとり》ぶらさがるように後ろからNさんに抱《だ》きつ....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
く、鼠坂という有名な坂があった。その坂は、音羽の方から、小日向台町の方へ向って、
登り坂となっているのであるが、道幅が二メートルほどの至って狭い坂だった。登り口の....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
れて、血を流したように一面に紅い。原に沿うた長い路をゆき抜けると、路はだんだんに
登り坂になって、石の多い丘の裾についた。案内者はここが百八高地というのであると教....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
の方のうわさがその途中で半蔵らの耳にはいった。京からの下りも加納の宿あたりまでは
登り坂の多いところで、半蔵らがそんな話を耳にしたのは美濃路にはいってからであるが....
「微笑」より 著者:横光利一
黙って歩きつづけた。緊迫した石垣の冷たさが籠み冴えて透った。暗い狸穴の街路は静な
登り坂になっていて、ひびき返る靴音だけ聞きつつ梶は、先日から驚かされた頂点は今夜....
「技術の哲学」より 著者:戸坂潤
減少だと、公報されている。 まして特殊事情に立脚している日本は、今や資本主義の
登り坂を登って行くかのようにさえ云われている。本年(一九三三年)日本銀行調査によ....
「忘恩」より 著者:田中貢太郎
谷の窪地の隅になった処へまで往った。山畑はそこでなくなって、それから勾配のきつい
登り坂になるのであった。兎はとてもいないと思ったので、銃を元の通り肩に懸けて二三....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
の半白爺、秀哉坊がちょうど恋を知りそむる頃、僕がまだようやく三十二、三、男盛りの
登り坂にかかる時だ。身体は大切にして居ればそう容易く死にもしまい。 エスペラン....
「桜の森の満開の下」より 著者:坂口安吾
オブっておくれと言います。山賊は承知承知と女を軽々と背負って歩きましたが、険しい
登り坂へきて、ここは危いから降りて歩いて貰おうと言っても、女はしがみついて厭々、....
「ランス紀行」より 著者:岡本綺堂
れて、血を流したように一面に紅い。原に沿うた長い路をゆき抜けると、路はだんだんに
登り坂になって、石の多い丘の裾についた。案内者はここが百八高地というものであると....
「能面の秘密」より 著者:坂口安吾
へ歩きかけていたのです。あのへんから乃田さんの邸まではまだかなりの道です。それで
登り坂ですから、ビッコのあの人の足では相当の時間がかかるんですよ」 「火事の時は....
「褐色の求道」より 著者:岡本かの子
うて建てられてあったから、この入口から寺の玄関まで、およそ愛宕山の三分の一ほどの
登り坂になるわけである。 大げさに言えば此処の宗祖――とも言うべき寺のあるじの....
「肌の匂い」より 著者:三好十郎
それもたいがいスロープになつている。その間を縫つて行く道も、たいがい、ゆるやかな
登り坂か降り坂になつていて、水平な所を歩くことは、ほとんど無し。その丘陵型が次第....
「審判」より 著者:カフカフランツ
ち止ったことについて軽くとがめているようだった。それから彼らはまた歩いていった。
登り坂の小さな道をいくつか行ったが、そこにはあちらこちらに警官たちが立ち止ったり....