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「白壁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

白壁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
かせた。昼見るといつも天主閣は、蓊鬱《おううつ》とした松の間に三層《さんぞう》の白壁《しらかべ》を畳みながら、その反《そ》り返った家根の空へ無数の鴉《からす》を....
十円札」より 著者:芥川竜之介
隠している。しかし薄蒼《うすあお》いパイプの煙は粟野さんの存在を証明するように、白壁《しらかべ》を背にした空間の中へ時々かすかに立ち昇《のぼ》っている。窓の外の....
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
ま、だんだん左舷《さげん》へ迫って来る湖南の府城を眺めていた。高い曇天の山の前に白壁や瓦屋根《かわらやね》を積み上げた長沙は予想以上に見すぼらしかった。殊に狭苦....
松江印象記」より 著者:芥川竜之介
《ほり》を見おろして、かすかな夕日の光にぬらされながら、かいつぶり鳴く水に寂しい白壁の影を落している、あの天主閣の高い屋根がわらがいつまでも、地に落ちないように....
大川の水」より 著者:芥川竜之介
め堀、横網の川岸――どこでもよい。これらの町々を通る人の耳には、日をうけた土蔵の白壁白壁との間から、格子戸《こうしど》づくりの薄暗い家と家との間から、あるいは....
少年」より 著者:芥川竜之介
月が出ますから、――」 やっと腰を起した主人は保吉と云うよりもむしろ父へ向うの白壁《しらかべ》を指し示した。幻燈はその白壁の上へちょうど差渡《さしわた》し三尺....
将軍」より 著者:芥川竜之介
のであった。殊に紅唐紙《べにとうし》の聯《れん》を貼《は》った、埃《ほこり》臭い白壁《しらかべ》の上に、束髪《そくはつ》に結《ゆ》った芸者の写真が、ちゃんと鋲《....
保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
さ》い焼パンを齧《かじ》っていた。彼のテエブルの前にあるのは亀裂《ひび》の入った白壁《しらかべ》だった。そこにはまた斜《はす》かいに、「ホット(あたたかい)サン....
星座」より 著者:有島武郎
すぐ上で突然音がした。ちょっと驚いて見上げてみると玄関のつきあたりの少しすすけた白壁に、金縁の大きな丸時計がかかっていて、その金色の針がちょうど九時を指していた....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
ですか。みはしなかろう。そして、貴女を船に送出す時、磯に倒れて悲しもうが、新しい白壁、艶ある甍を、山際の月に照らさして、夥多の奴婢に取巻かせて、近頃呼入れた、若....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
芋※の葉を被っているけに、衣ものの縞柄も気のせいか、逢魔が時に茫として、庄屋様の白壁に映して見ても、どれが孫やら、忰やら、小女童やら分りませぬ。 おなじように....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
乱れたのである。 「きみ、きみ、まだなかなかかい。」 「屋根が見えるでしょう――白壁が見えました。」 「留まれ。」 その町の端頭と思う、林道の入口の右側の角に....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
ばなりき。 うつくしき君の住いたるは、わが町家の軒ならびに、比びなき建物にて、白壁いかめしき土蔵も有りたり。内証は太く富めりしなりとぞ。人数は少なくて、姉上と....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
りには南蛮さいかちやエルムが高々としげっていた。その木立のあいだから教会の瀟洒な白壁がしとやかに光っているありさまは、純潔なキリスト教精神が暗い幽境から輝きでる....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
いた。土地の便宜上、米町川の上流、大笹に地を選んで、とにかく、在家を土蔵ぐるみ、白壁づくりに、仮屋を合せて、女神像をそこへ祭って、可心は一生堂守で身を終る覚悟で....