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白布
「白布〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
白布の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
うかたなき貞世だった。葉子はあわてていつのまにか膝《ひざ》からずり落としてあった
白布を取り上げて、階下のほうにきっと聞き耳を立てた。事態はだいぶ大事らしかった。....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
岐《わか》れて、およそ四丈ばかりの滝になってどっと落ちて、また暗碧《あんぺき》に
白布《しろぬの》を織って矢を射るように里へ出るのじゃが、その巌にせかれた方は六尺....
「紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
、成東の岡の繁りにはうす蒼く水気がかかっている。町の家の峯をかけ、岡の中腹を横に
白布をのしたように炊ぎの煙が、わざとらしくたなびいている。岡の東端ひときわ木立の....
「地球盗難」より 著者:海野十三
った。一言でいうと、彼等は西洋の幽霊そっくりだった。つまり人間が頭からスッポリと
白布を被った恰好に等しかった。しかし身体はまるでアミーバーのように、自由に形をか....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
装、頭に犀のごとき角一つあり、眼円かに面の色朱よりも赤く、手と脚、瓜に似て青し。
白布にて蔽うたる一個の小桶を小脇に、柱をめぐりて、内を覗き、女童の戯るるを視つつ....
「怪塔王」より 著者:海野十三
づいて来ました。飛行機は、一彦たちのあたまの上まで来ました。一彦は寝そべったまま
白布を手にして振り、爺さんはしきりに炭焼竈の煙をさかんにあげて飛行機の方に相図を....
「人造人間事件」より 著者:海野十三
かオーバーと帽子を置いて下さい」 雁金検事のオーバーと、大江山課長の制帽とが、
白布を蔽った空寝台の上に並べて置かれた。それは竹田博士の死体と同じ位置に置かれた....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
燈一つに附着合って、スッと鳥居を潜って来たのは、三人|斉しく山伏なり。白衣に
白布の顱巻したが、面こそは異形なれ。丹塗の天狗に、緑青色の般若と、面白く鼻の黄な....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
谷の草がくれ。 向うの階を、木魚が上る。あとへ続くと、須弥壇も仏具も何もない。
白布を蔽うた台に、経机を据えて、その上に黒塗の御廚子があった。 庫裡の炉の周囲....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
なる――そんな魔法は、俺が使ったぞ、というように知らん顔して、遠めがねを、それも
白布で巻いたので、熟とどこかの樹を枝を凝視めていて、ものも言わない。 猟夫は最....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
』と呪して疣黒子を抜くという、使いがらもって来いの人物。 これが、例の戸棚掛の
白布を、直ぐに使って一包み、昨夜の一刀を上に載せて、も一つ
白布で本包みにしたのを....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
二三|間ぐらいの大きな瀑布が、ゴーッとばかりすさまじい音を立てて、木の葉がくれに
白布を懸けて居りました。 私はどこに一|点の申分なき、四辺の清浄な景色に見惚れ....
「人体解剖を看るの記」より 著者:海野十三
察医が入ってきた。 それにつづいて運搬車のうえに載せられて、屍体が入って来た。
白布をとれば、その下に裸体の若い男性屍体が現れた。年のころ十五六でもあろうか。五....
「画室談義」より 著者:上村松園
の制作に必要な個所には絨毯が敷いてあるし、蠅や蛾の汚れを防ぐために絵にはいつでも
白布をかけることにしてあります。 絹布切れでつくったさいはらい、棕櫚の手製の箒....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
じ白衣の看護婦三人。宿直の姿が二階を放れて、段に沈むと、すらすらと三方へ、三条の
白布を引いて立ち別れた。その集っている間、手に、裾に、胸に、白浪の飜るようだった....