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白扇
「白扇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
白扇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
残暑が強い。一同変ることもないか」 五郎三郎は機嫌よくみんなに挨拶して、腰から
白扇《はくせん》を取り出してはらはらと使った。庭には薄い日がどんよりとさしていた....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
めると、あばたの敬四郎たち一党に気づかれないようにというつもりから、腰にしていた
白扇をそっと抜きとって、こっそりそのほうへ投げつけました。年寄りはおどろいたよう....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
としてつっ立ち上がりながら、二足三足追っかけてまいりましたが、右門はもうそのとき
白扇で涼風を招きながら、さっさとお牢屋敷の表門を往来へ踏み出しているときでありま....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
門にかぎっては、いっこうそんなけぶりすらも見えないで、涼しげにばたばたと胸もとへ
白扇の風を入れていたものでしたから、敬四郎はむッとただ右門をにらみかえしたばかり....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の脇指で背中から突き透しました。芝居ならば、わたくしが座頭役《ざがしらやく》で、
白扇でも開いて見事見事と褒め立てようと云うところです。わたくしもまあ、これで重荷....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
連れて徐かにはいって来た。娘の長い袂は八つ手の葉に触れた。娘は奥へ通って、小さい
白扇を遣っていた。 この二人の姿が消えると、芝居で観る久松のような丁稚がはいっ....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
てみる。張訓もおなじく押し頂いて披いて見ると、どうしたわけか自分の貰った扇だけは
白扇で、なにも書いてない。裏にも表にもない。これには甚だ失望したが、この場合、上....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
わした着物の襞※にも特色があったが、ことに、その左の手を寛いだ形に置き、右の手で
白扇をついた膝こそは先師のものだ、と思って、心をとめて見た覚えがある。見台の上に....
「雷」より 著者:海野十三
派なもので、パナマ帽を目深に被り、右手には太い藤の洋杖をつき、左手には半ば開いた
白扇を持ち、その扇面を顔のあたりに翳して歩いていた。彼はなんとなく拘りのある足ど....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
な独言。 大分日焼けのした顔色で、帽子を被らず、手拭を畳んで頭に載せ、半開きの
白扇を額に翳した……一方雑樹交りに干潟のような広々とした畑がある。瓜は作らぬが近....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
と、そう解釈してよさそうである。 袴無しの着流しで、蝋塗りの細身の大小を差し、
白扇を胸の辺りでパチツカせ、青簾に釣忍、そんなものが軒にチラチラ見える町通りを歩....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
は」「よいか」
といつか浪人はうなだれていた。
と、武士は刀の柄頭を、右手の
白扇で拍子づけて、軽く二、三度叩いたが、
「通りかかって、見たというものさ。そち....
「曲亭馬琴」より 著者:邦枝完二
が為めに京伝は挟箱《はさみばこ》を肩にして父の後に従い、弟はまたその後について、
白扇を年玉に配って歩いた。 「兄ちゃん。おいらアお腹《なか》が痛いから、もういや....
「二階から」より 著者:岡本綺堂
連れて徐かに這入って来た。娘の長い袂は八つ手の葉に触れた。娘は奥へ通って、小さい
白扇を遣っていた。 この二人の姿が消えると、芝居で観る久松のような丁稚が這入っ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
おおい、おおいと、また一人が麦藁帽を振ると、 おおい、おおいと、また一人が
白扇を振ると、 おおい、おおいと、またまた一人がハンカチーフを振ると、 おお....