白無垢[語句情報] »
白無垢
「白無垢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
白無垢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
の物語にあらわれている男と女との真実の姿ではない。 それでも私たちは「女肌には
白無垢や」の唄に因《よ》って、二百余年来かもしなされて来た哀艶の気分をいつまでも....
「雪の白峰」より 著者:小島烏水
然《かっきり》と、白銀の玉座を高く据えたのを見て、その冴え冴えと振り翳《かざ》す
白無垢衣《しろむくえ》の、皺《しわ》の折れ方までが、わけもなく魂を織り込もうとす....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
徐々に消えて行った。そうして霞が立ち初めた。 富士のお山は笑い出した。だが未だ
白無垢は脱がなかった。 やはり光明優婆塞は、教団へ帰っては来なかった。 いっ....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
よう」 「宜かろう」 包みを解いて見ると、中から出たのは一|襲の衣類、羽二重の
白無垢である。 「うん、之は変ったものだな」 「奴、発心でもしたかな」 対手が....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
、北米ポートランド市の、シチイ・パークから遠望した、フッド火山の、においこぼるる
白無垢小袖の、ろうたけた姿であった。十幾階の角形の建築物や、工場の煙突の上に、白....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
えなくなったのは、その小屋の中へはいったからであろう。 後は寂しく静かである。
白無垢のような雪の色と蒼澄んだ月光とが映じ合い冬の深山の夜でなければ容易に見るこ....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
餅を買ったとある、と雪の炉端で話が積る。 トそこら白いものばっかりで、雪上※は
白無垢じゃ……なんぞと言う処から、袖裾が出来たものと見えまして、近頃峠の古屋には....
「百物語」より 著者:岡本綺堂
よく判らなかったが、行燈の灯に照らしてみると、それは年のころ十八九の美しい女で、
白無垢のうえに白縮緬のしごきを締め、長い髪をふりみだして首をくくっているのであっ....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
人々は外套を鎧っていた。寒そうに首をすっ込めていた。冬がそこまで歩いて来ていた。
白無垢姿の冬であった。 「俺も長い間苦しんだなあ」 クッションへ蹲って考えた。....
「村井長庵記名の傘」より 著者:国枝史郎
ッ」と長庵それを聞くと、いまいましそうに唾を吐いたが、 「いや艶めかしい廓言葉と
白無垢鉄火の強白、交替に使われちゃどうにも俺ら手が出ねえ。一体お前は何者だね?」....
「黄八丈の小袖」より 著者:岡本綺堂
悲であった。 お熊が引廻しの裸馬に乗せられた時には、自分の家から差入れて貰った
白無垢の上に黄八丈の小袖をかさねて、頸には水晶の珠数をかけていた。その朝は霜が一....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
うだ。(やや悲しげに)それが今や汚される。(罌粟畑を眺め)この広い血の海で、その
白無垢が赤く染まる。(竪琴を眺め)どのように銀の調が、血と暗とを喜ぶだろう――。....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
の彦太楼尾張屋の主人というは藐庵や文楼の系統を引いた当時の廓中第一の愚慢大人で、
白無垢を着て御前と呼ばせたほどの豪奢を極め、万年青の名品を五百鉢から持っていた物....
「寺町」より 著者:岩本素白
は、このごろ駕籠の葬式というものは殆ど見掛けなくなって居る。駕籠の中の棺の上に、
白無垢や浅黄無垢を懸け、ほんの僅かの人々に送られて、静かに山の手の寺町を行く葬式....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
蒼黒く凝って、葉末からは垂氷のような雫が滴っている、生命といっては微塵もない雪の
白無垢に掩われた墓原を眺めて、私は世の終りを見たと思った、これが生ある者の一度で....