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「白砂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

白砂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
守の家」より 著者:伊藤左千夫
松が自分をおぶって、囲炉裏端へ上った時に母とお松の母は、生薑《しょうが》の赤漬と白砂糖で茶を飲んで居った。お松は「今夜坊さんはねえやの処へ泊ってください」と頻り....
星あかり」より 著者:泉鏡花
は浜が著しく縮まって居る。町を離れてから浪打際まで、凡そ二百歩もあった筈なのが、白砂に足を踏掛けたと思うと、早や爪先が冷く浪のさきに触れたので、昼間は鉄の鍋で煮....
江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
です。水道の水は生温いというので、掘井戸の水を売ったので、荷の前には、白玉と三盆白砂糖とを出してある。今の氷屋のような荷です。それはズット昔からある水売りで、売....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
と、山の端出づる月の光に、真紫に輝きまするを夢のように抱きました時、あれの父親は白砂に領伏し、波の裙を吸いました。あわれ竜神、一命も捧げ奉ると、御恩のほどを難有....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
――道をかえて、たとえば、宿の座敷から湖の向うにほんのりと、薄い霧に包まれた、白砂の小松山の方に向ったのである。 小店の障子に貼紙して、 (今日より昆布ま....
死者の書」より 著者:折口信夫
て居た。夕闇はそろそろ、かぶさって来て居るのに、山裾のひらけた処を占めた寺庭は、白砂が、昼の明りに輝いていた。ここからよく見える二上の頂は、広く、赤々と夕映えて....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
とさるを抜いた、戸締り厳重な雨戸を一枚。半ば戸袋へするりと開けると、雪ならぬ夜の白砂、広庭一面、薄雲の影を宿して、屋根を越した月の影が、廂をこぼれて、竹垣に葉か....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
りましたが、何度通って見ても心地のよいのはこの街道なのでございます。それは天然の白砂をば何かで程よく固めたと言ったような、踏み心地で、足触りの良さと申したら比類....
真夏の夢」より 著者:有島武郎
みわたって、その中を雲雀がかけていました。遠い遠い所に木のしげった島が見えます。白砂の上を人々が手を取り合って行きかいしております。祭壇から火の立ち登る柱廊下の....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
ければ、真昼の様な月夜とも想われよう。長閑さはしかし野にも山にも増って、あらゆる白砂の俤は、暖い霧に似ている。 鳩は蒼空を舞うのである。ゆったりした浪にも誘わ....
百喩経」より 著者:岡本かの子
て却ってぽかんとして仕舞った。 浜に網曳く声が聞えた。犬の声も交って居る。青松白砂。蒔蔵は 「ここは淡路じゃ無いぞ。蒲郡だぞ」 と何遍自分に云って聞かせても....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
ょうどその相激する処に、砂山の白いのが築洲のようになって、向う岸へ架ったのです。白砂だから濡れても白い。……鵲の橋とも、白瑪瑙の欄干とも、風の凄じく、真水と潮の....
迷信解」より 著者:井上円了
い。 つぎに異物とは、越後の七不思議をはじめとし、あるいは天より怪石を降らし、白砂あるいは黄豆を降らす等の類にして、昔時は一般に奇怪に思いしも、今日は学理の進....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
ところどころ無数の珊瑚州の点在するあり、その間を縫いて行く。これを望むに、一帯の白砂のごとし。往々その上に草木の茂生せるあり。陸上の連山は喬木なく、岩石と野草を....
呼ばれし乙女」より 著者:岡本かの子
むままに水に向って手を差し伸べていた。 腕頸に淡いくびれがあり、指の附根の甲に白砂を耳掻きで掬った痕のような四つの小さい窪みのできる乙女の手は、いま水晶を溶し....