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「白絣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

白絣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
服装に就いて」より 著者:太宰治
ども私は、自分の衣服を買う事に於いては、極端に吝嗇なので、この三、四年間に、夏の白絣一枚と、久留米絣《くるめがすり》の単衣を一枚新調しただけである。あとは全部、....
浜菊」より 著者:伊藤左千夫
繁さんの活々《いきいき》とした風采《ふうさい》が明かに眼に浮ぶ。 土地の名物|白絣《しろがすり》の上布に、お母さんのお古だという藍鼠《あいねずみ》の緞子《どん....
こころ」より 著者:夏目漱石
った。すると着物の下に置いてあった眼鏡が板の隙間《すきま》から下へ落ちた。先生は白絣《しろがすり》の上へ兵児帯《へこおび》を締めてから、眼鏡の失《な》くなったの....
斜陽」より 著者:太宰治
て応接間の隅の戸棚から梨を三つ取り出して私に下さった。そうして、お昼すこし過ぎ、白絣に夏羽織をお召しになって診察にいらした。れいの如く、ていねいに永い事、聴診や....
田舎教師」より 著者:田山花袋
午後の日影に剖葦がしきりに鳴いた。 十六 暑いある日の午後、白絣に袴という清三の学校帰りの姿が羽生の庇の長い町に見えた。今日月給が全部おりて....
毛の指環」より 著者:宮本百合子
ったりつけ、顔を上に向け、恍惚と声張り上げてうたった。 お千代ちゃんは、地味な白絣の紡績の着物に海老茶袴をつけている。 小学校を最優等でお千代ちゃんは卒業し....
おもかげ」より 著者:宮本百合子
父だけおいて皆は避暑に行っている留守の家の気配や父親としての追懐が滲み出ていた。白絣にメリンスの兵児帯をしめた保はその日の午すこし前、女中部屋のわきを通って、ち....
道標」より 著者:宮本百合子
が、めずらしいことに保がうちにいなかった。女中にきくと、おひる前ごろ、保が筒袖の白絣に黒いメリンスの兵児帯《へこおび》をしめたふだんのなりで、女中部屋のわきを通....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
そう云って、綻びて、袂の尖でやっと繋がる、ぐたりと下へ襲ねた、どくどく重そうな白絣の浴衣の溢出す、汚れて萎えた綿入のだらけた袖口へ、右の手を、手首を曲げて、肩....
その頃」より 著者:宮本百合子
男の人が、坪内先生の手紙を片手に握って速足に出て来た。これが瀧田樗蔭氏であった。白絣に夏羽織の裾をゆすって二階へ上った。私が全く自然発生的に書いた小説「貧しき人....
菜穂子」より 著者:堀辰雄
った儘でいた。八月の間は、村をあちこちと二三人ずつ組んで散歩をしている学生たちの白絣姿《しろがすりすがた》が私を村へ出てゆくことを億劫《おっくう》にさせていた。....
楡の家」より 著者:堀辰雄
たままでいた。八月の間は、村をあちこちと二三人ずつ組んで散歩をしている学生たちの白絣姿《しろがすりすがた》が私を村へ出てゆくことを億劫《おっくう》にさせていた。....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
お互にそういう意味での養生を致しましょう。ともどもということも具体的で、貴方の白絣の袖がついここにあるような感じは大変に大変に気の休まりになります。たまだと、....
雪霊記事」より 著者:泉鏡花
ていたのです。そのために東京から故郷に帰る途中だったのでありますが、汚れくさった白絣を一枚きて、頭陀袋のような革鞄一つ掛けたのを、玄関さきで断られる処を、泊めて....
不在地主」より 著者:小林多喜二
車なこと!」――上品に眉だけをひそめた。 続いて、一文字を手にして、当の主人が白絣に絽の羽織で、高い背をあらわした。その後からクリーム色の洋装した令嬢が降りた....