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「白蝋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

白蝋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
城の大広間に、いま銀燭は眩《まばゆ》いばかりに数限りもなく燃えさかっている。その白蝋が解けて流れて、蝋受けの上にうずたかく溜っているのを見れば、よほど酒宴の刻《....
さようなら」より 著者:田中英光
しい。全身の血がしぼり出されたように、血は金盥を越え畳一面に染みていた。その代り白蝋のように血の気のない彼の死顔は放心した如くのどかにみえた。だがぼくは彼の死魚....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
色など変える人ではないけれど、今日はさすがに包みかねて、顔に血の気が失せほとんど白蝋のごとき色になった。 自分ひとりで勝手な考えばかりしてる父はおとよの顔色な....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
一つ小さい台があって、キラキラ光る大小さまざまのメスが並んでいた。解剖台の上には白蝋のような屍体が横たわっているが、身長から云ってどうやら少年のものらしい。それ....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
かなり店をしまって、往来の人もまばらに急ぎ足になっていた。 灯という灯はどれも白蝋のヴェールをかけ、ネオンの色明りは遠い空でにじみ流れていた。 今度は青年の....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
いていて、それはやや光沢の鈍いような感じはするけれども、外見はいっこうに、通常の白蝋と変りはなかった。そして、端から火を移してゆくと、ジイジイっと、まるで耳馴れ....
」より 著者:太宰治
れましたけれど、その御死顔と言ったら、すごいほど美しいとはあれでございましょう。白蝋の御両頬には、あの夏木立の影も映らむばかりでございました。そんなにお美しくて....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
って、先端の丸い、細長い楕円形の葉を群がらしている。その裏返しになったところは、白蝋を塗ったようで、赤児の頬の柔か味がある。美しいのはその花弁だ。白花という名を....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
脇に搬んできた。そして一世一代の腕をふるって、ミチミの死顔にお化粧をしてやった。白蝋の面の上に、香りの高い白粉がのべられ、その上に淡紅色の粉白粉を、彼女の両頬に....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
です。――お位牌も、この姐さんに、どうぞお力をお添え下さい。」 と言った。面が白蝋のように色澄んで、伏目で聞入ったお澄の、長い睫毛のまたたくとともに、床に置い....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
確か※」 曝露された犯罪者特有の醜い表情は、遂の間に消え失せていて、朔郎の顔は白蝋の仮面さながらだった。 「だが、一体胎龍は、何処でどんな兇器で殺されたのだね....
猿ヶ京片耳伝説」より 著者:国枝史郎
延びているお蘭の体は、湯から出ている胸から上は瑪瑙色に映えていたが、胸から下は、白蝋のように蒼いまでに白く見えていた。お蘭は時々唇をとんがらせ、顔を上向け、眼の....
少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
人は死体のほうへすすんだ。死体は十数メートル先にほの白く光っていた。みだれた髪が白蝋の顔にへびのようにくっついている。ぞっと戦慄が身内を走った。「ワッ!」と悲鳴....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
綺麗にした蛤の貝殻があるのは、膏薬を入れて渡すのでした。その膏薬も手製です。よい白蝋を煮とかして、壺ようの器に入れてあり、それに「単膏」という札が貼ってありまし....
黒猫十三」より 著者:大倉燁子
かって、何とも云えぬ美しさだ。桃色のドレスの肩から流れ出ている血汐は、細そりした白蝋のような腕を伝わり、赤い一筋の線を描きながら、白いゴム・マットの上に滴り落ち....