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白鞘
「白鞘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
白鞘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「草枕」より 著者:夏目漱石
かちりと音がして、閃めきはすぐ消えた。女の左り手には九|寸《すん》五|分《ぶ》の
白鞘《しらさや》がある。姿はたちまち障子の影に隠れた。余は朝っぱらから歌舞伎座《....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
い遺品ばかりである。松坂の本居家からは銅製の鈴。浜松の賀茂家からは四寸九分無銘|
白鞘の短刀。荷田家からは黄銅製の円鏡。それに平田家からは水晶の玉、紫の糸で輪につ....
「黴」より 著者:徳田秋声
っていたが、笹村もあまりいい気持がしていなかった。そして甥が行李の底に収っていた
白鞘の短刀を捜したが、それは見つからなくて、代りに笹村が大切に保存していたある人....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
。やがて室内の四方へ眼を配った二人のうち南条は、能登守の机の抽斗《ひきだし》から
白鞘《しらさや》の短刀一|口《ふり》を探し出しました。五十嵐は能登守が鎔鉱の試験....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
かりは見る人が見なければ……」 「その見る人が、この通りめくらだ」 袋の中から
白鞘物《しらさやもの》を取り出しますと、女は、 「それでも、心得のあるお方がお持....
「幽霊船の秘密」より 著者:海野十三
「おい貝谷、油断をするな」 早くもそれをみとめて、古谷局長が声をかけた。局長は
白鞘の短刀を腰にさしている。あと舷側まで、ほんの一伸びだ。おそれているわけではな....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
きんらん》の袋の中には問題の太刀が一|振《ふり》。それから神尾が袋を払って、その
白鞘《しらさや》の刀に手をかけて鄭重《ていちょう》に抜いて見ました。 刀身の長....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
上州の安中でも、所の剣術遣いだと言ったが、常蔵という中間《ちゅうげん》の足を、
白鞘《しらざや》を抜いてふいにきりかかったから、その時も、おれと二人で打ちのめし....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
見廻しているうち、ふと、お銀様の眼にとまったのは、床の間に立てかけであった、長い
白鞘物《しらさやもの》です。これは、お寺の床の間には似つかわしからぬもので、今ま....
「人間繁栄」より 著者:豊島与志雄
られて、自殺の決心をした。 彼の家に、無銘ではあるが、長義の作だと伝えられる、
白鞘の短刀があった。彼はそれを持出して、甞て道子と二人で甘い一日を過したことのあ....
「道連」より 著者:豊島与志雄
の一里の道を歩いて帰って来た。而も田舎の人に似合わず、闇の夜でも提灯もつけずに、
白鞘の短刀を懐にして、平気で歩いて来たのでるる。それを母が心配して、二人でいざこ....
「怪異に嫌わる」より 著者:豊島与志雄
洩らしながら、その刀をうち臨めた。縞目も分らぬ古錦の袋を開けば、年月の埃に黝んだ
白鞘で、それでも研師にかけただけあって、中身は冷徹に冴え渡った大刀、相当の業物ら....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
んだ。紐が解かれ、蓋が開けられた。箱の底に沈んでいたのは、古錦襴の袋に入れられた
白鞘の剣であった。やがて鞘は払われ、刀身があらわれた。 薪左衛門は、狂人ながら....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
くれて、胡麻化そうというんだね。おい、益休《ますきゅう》っ」
庄吉は、懐から、
白鞘を出して、畳の上へ置いた。
「お前さん、俺の気性を、知っていなさるだろうな」....
「芳川鎌子」より 著者:長谷川時雨
と女のお召コートの袂《たもと》には各々遺書一通あり、尚《なお》女のコートの袂には
白鞘《しろさや》の短刀を蔵《かく》しあり。 右につき本社は各方面に向つて精探せし....