皆目[語句情報] »
皆目
「皆目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
皆目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
なるとやら、あるいはまた東海の波を踏んで唐土《もろこし》に御渡りになったとやら、
皆目御行方《かいもくおゆくえ》が知れないと申すことでございます。この方などは若殿....
「妙な話」より 著者:芥川竜之介
った。ちょうど風の強い曇天だったから、荷に挿《さ》した色紙《いろがみ》の風車が、
皆目まぐるしく廻っている。――千枝子はそう云う景色だけでも、何故《なぜ》か心細い....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
たと云う噂があるの、と、取沙汰だけはいろいろあっても、さて突きつめた所になると、
皆目《かいもく》どうなったか知れないのです。新蔵は始|気遣《きづか》って、それか....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
か》にしては厳重に行われた。場主の松川は少からざる懸賞までした。しかし手がかりは
皆目《かいもく》つかなかった。疑いは妙に広岡の方にかかって行った。赤坊を殺したの....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
うに瓶の積み重なりを顧みた。取って返しはしたものの、どうしていいのかその子供には
皆目見当がつかないのだ、と彼は思った。
群がり集まって来た子供たちは遠巻きにそ....
「星座」より 著者:有島武郎
ながら、ともかく、
「ええと、それは」
といったが、どこに不審の箇所があるのか
皆目《かいもく》知れなかった。
「どこでしたかね」
自分ながら薄のろい声で彼は....
「親子」より 著者:有島武郎
近く父の心に背いて家には寄りつかなかったから、今までの成り行きがどうなっているか
皆目見当がつかなかったのだ。この場になって、その間の父の苦心というものを考えてみ....
「星あかり」より 著者:泉鏡花
廂も、屋根も、居酒屋の軒にかかった杉の葉も、百姓屋の土間に据えてある粉挽臼も、
皆目を以て、じろじろ睨めるようで、身の置処ないまでに、右から、左から、路をせばめ....
「春昼」より 著者:泉鏡花
りますが、此処でありますよ。 何処の生れだか、育ちなのか、誰の娘だか、妹だか、
皆目分らんでございます。貸して、かたに取ったか、出して買うようにしたか。落魄れた....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
、行方が知れず、音沙汰なし。親兄弟もある人物、出来る限り、手を尽くして捜したが、
皆目|跡形が分らんから、われわれ友だちの間にも、最早や世にない、死んだものと断念....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
猿じゃ、狐じゃ、と申す隙に、停車場前の、今、餅屋で聞くか、その筋へ出て尋ねれば、
皆目知れぬ事はござるまい。が、人間そこまではせぬもので、火元は分らず、火の粉ばか....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
生の願いをお聴き届け下さいませ……。私の女房奴が入水すると申して、家出をしたきり
皆目行方が判らないのでございます。神様のお力でどうぞその足留めをしてくださいます....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
そう極めて、わざと彼女にきこえるように大唾を吐いた。 「ペッ、プッ」 若い尼は
皆目眼も呉れず頭をさげてひたすら歩いた。すれちがいに阿Qは突然手を伸ばして彼女の....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
るに違いないのだと思った。けれども、一体どうして息子を探せばいいのか、その見当は
皆目つかなかった。それに息子に別れてから、もう十五年にもなるのである。よしんば、....
「活人形」より 著者:泉鏡花
「録よ、お録。と呼び立つれど、老婆は更に答せねば、「はてな、お録といえば先刻から
皆目姿を見せないが、ははあ、疲れてどこかで眠ったものと見える。老年というものはえ....