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皐月
「皐月〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
皐月の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
おれも一度踏み出してみよう。あしたの朝、一緒に行ってくれ」 あくる朝はいわゆる
皐月《さつき》晴れで、江戸の空は蒼々と晴れ渡っていた。朝の六ツ半(午前七時)頃に....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
衛と女は、尾行しだして三町と行かないうちに、天神下から通りを右へ折れると、そこの
皐月《さつき》と看板の出た粋《いき》茶屋らしい一軒へ、吸われるようにはいっていき....
「空襲下の日本」より 著者:海野十三
れ等の責任は重いぞ」 そう云ってK中尉は、天の一角を睨んだ。漆を融かしたような
皐月闇の空に、怪鳥の不気味な声でギャアギャアと聞えた。 そこへバタバタと靴音が....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
色を映す。 さて住吉の朝ぼらけ、白妙の松の樹の間を、静々と詣で進む、路の裳を、
皐月御殿、市の式殿にはじめて解いて、市の姫は十二人。袴を十二長く引く。…… そ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
中川の
皐月《さつき》の水に人似たりかたればむ せびよればわななく (晶子) 光....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
内証で……何となく顔を見られますようで、ですから内証で、その蔦屋へ参りました。
皐月上旬でありました。 三 門、背戸の清き流、軒に高き二本柳、―....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
から出たお話だとすれば、きっとまた何か悪いことが起るに違いないわ。物忌を怠れば、
皐月と云う月にはきまってわざわいが現れるのですもの。全く、うかうかとお祭騒ぎもし....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
る。シーボルトの『フロラ・ヤポニカ』の書にその精図が出ている。私は前に一度これを
皐月《サツキ》ギョリュウと名づけたことがあったが、私はその花を当時小石川植物園事....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
風に混って粉雪の踊る一月から、鐘に桜花《さくら》の散る弥生《やよい》、青葉若葉の
皐月《さつき》も過ぎて鰹の走る梅雨晴れ時、夏に入って夏も老い、九月も今日で十三日....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
くまでも歌舞伎座に対抗して、両座殆んど同時に五月興行を開場した。新富座の方は、「
皐月晴上野朝風」と「釈迦八相」と「勧進帳」と「近江源氏」という列べ方で、そのうち....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
雨中の雪峰はまた一段の眺めでございます。道のあちらこちらにはパル(匂いある黄色の
皐月花)、スル(同じ赤
皐月)その他いろいろの草花に雫の溜って居る様は、あたかも璧....
「藤の瓔珞」より 著者:田中貢太郎
生えた林の中には、落ちかかった斜陽が微な光を投げていた。そこには躑躅が咲き残り、
皐月が咲き、胸毛の白い小鳥は嫩葉の陰で囀っていた。そして、松や楢にからまりついた....