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皮膜
「皮膜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
皮膜の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十二支考」より 著者:南方熊楠
スや後インドに二十種ばかり産する蜥蜴ありて、長《たけ》十インチ以内で脇骨が長くて
皮膜を被り、伸縮あたかも扇様で清水《きよみず》の舞台から傘さして飛び下りるごとく....
「日常身辺の物理的諸問題」より 著者:寺田寅彦
着せしめる性質がある。そうして、普通人間の手に触れる物体は自然に油脂類のそういう
皮膜でおおわれていて、それを完全に除去するのはなかなか容易でない事が知られている....
「鐘に釁る」より 著者:寺田寅彦
る。真鍮などのみがいた鏡面を水で完全に湿すのが困難であるのは、目に見えない油脂の
皮膜のためである。こういう
皮膜がいわゆる boundary lubricatio....
「ニュース映画と新聞記事」より 著者:寺田寅彦
、しかも広大無辺の正確なる認識能力を所有しているのである。試みにたったひとこまの
皮膜に写った形像を精細に言葉で記載しようとしてもおそらく千万言を費やしてもなおす....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
赤色の泥《どろ》のようなものにおおわれていた。水面をすかして見ると青白い真珠色の
皮膜を張ってその膜には氷裂状にひびがはいっているのであった。晩秋の夜ふけなどには....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
と言ったは、只今英語でフライイング・ドラゴン(飛竜)と通称する蜥蜴の、脇骨長くて
皮膜を被り、それを扇のごとく拡げて清水の舞台から、相場師が傘さして落ちるように、....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
いい」というモモンガに似たようだが、全く別類で、モモンガは前後脚の間にのみ張った
皮膜ありて樹上から飛び下るを助くるが、コルゴの飛膜は前後脚間に止まらず前脚と頸側....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
しかしたら、あの康子ちゃん一人かもしれませんね。癌《がん》と同じに、幼時の細胞が
皮膜のようになって組織内にのこっていて、それが成長するにつれ育ったり分裂したりし....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
恐ろしいがしかし荘厳な趣である。両肱《りょうひじ》は骨立ち、両膝《りょうひざ》は
皮膜があらわで、傷口からは肉が見えており、銀の荊棘《いばら》の冠をかぶり、金の釘....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
く鼓動していた。ある種の※衝《きんしょう》から起こって人体のうちにできてくるあの
皮膜のように、各種の秘密結社の網の目は全土にひろがり始めていた。公然でまた同時に....
「だいこん」より 著者:久生十蘭
ろへ、シゴイさんの鸛まで出しゃばってきたのでいよいよ騒ぎが大きくなり、それが大脳
皮膜を刺戟してあんなくだらない夢を形成したのにちがいない。 赤蛙の腿と図に乗っ....
「審判」より 著者:カフカフランツ
るのよ、見てごらんなさい」 女は右手の中指と薬指とをひろげると、そのあいだには
皮膜が、短い指のほとんど一番上の関節にまで達していた。Kは暗がりの中で、女の見せ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
る。
それは、高弟中の御池十郎左衛門だった。十郎左衛門は、自分がまず、初太刀の
皮膜を切ろうとするものらしく、ズズと、摺り足に身をすすめて、
「師の清十郎敗れ、....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
する諸将はみな戦場の血みどろで生々しい。窮極はどうあれ、尊氏もここでは自分を嘘の
皮膜でくるんではいられない。つまり彼は、極限の本心から極限のべつな本心へと、変っ....