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皸
「皸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
皸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
のよいこと仰《おっ》しゃるのです。矢切の百姓なんぞは『アックリ』と申しましてね、
皸《あかぎれ》の薬に致します。ハハハハ」 「あらア口の悪いこと。政夫さんは、きょ....
「骨を削りつつ歩む」より 著者:佐左木俊郎
ているのではないが、私は今も半労働を続けている。今この原稿を書いている私の手は、
皸《あかぎれ》と罅《ひび》とで色が変わっているほどだが、晩年のトルストイの手のこ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
くも猿羽織を着るものがある。百姓が手につかむ霜にも、水仕事するものが皮膚に切れる
皸あかぎれにも、やがて来る長い冬を思わせないものはない。 落合の勝重が帰って行....
「家」より 著者:島崎藤村
、お雪に声を掛けたり、お歯黒の光る口元に微笑を見せたりした。下婢は酷い荒れ性で、
皸の切れた手を冷たい水の中へ突込んで、土のついた大根を洗った。 「地大根」と称え....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
である。風が吹く、土が飛ぶ、霜が冴える、水が荒い。四拍子|揃って、妻の手足は直ぐ
皸、霜やけ、あかぎれに飾られる。オリーヴ油やリスリンを塗った位では、血が止まらぬ....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
の周囲は、ただ混沌として一点の光輝も放たない、霧の底には、平原がある、平原の面は
皸が割れたようになって、銀白の川が、閃めいている、甲府平原は、深い水の中の藻のよ....
「ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
をなすっちゃ、いけませんよ。御覧なさいな、お悪戯をなさるものだから、あなたの手は
皸だらけじゃありませんか」 と看護婦に叱られて、おげんはすごすごと自分の部屋の....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
は小鳥と同じく朝の歌を持っている。
時とするとジャン・ヴァルジャンはコゼットの
皸《ひび》のきれたまっかな小さい手を取って、それに脣《くちびる》をつけることもあ....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
一|瞥した。 それは油気のない髪をひっつめの銀杏返しに結って、横なでの痕のある
皸だらけの両|頬を気持の悪い程赤く火照らせた、如何にも田舎者らしい娘だった。しか....
「蜜柑」より 著者:佐左木俊郎
を呑んだ。お美代はすぐに眼を伏せて、膝の上の自分の手を見た。玄い肌には一面の赤い
皸だった。節々は、垢切に捲かれた膏薬で折り曲げもならぬほどであった。 「新田の方....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
三、四一九) これは挽歌として、死霊を和める為の誇張した愛情である。 稲つけば、
皸る我が手を 今宵もか 殿の若子がとりてなげかむ (同巻十四、三四五九) これが....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
を取ってそれが主人のためなんだと聞いたって、びくともしやあしねえんで、お三どんが
皸を切らしたってそれが不便というんじゃありません、そんなのははじめッからその気で....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
原で血を舐めた婆々の鼻拭の洗濯までさせられる。暗いあかりで足袋の継ぎはぎをして、
皸あかぎれの手を、けちで炭もよくおこさないから……息で暖める隙もなしに、鬼婆の肩....
「雪」より 著者:中谷宇吉郎
ら》から血を流して毎日藁を打っておるのだ。 さればといって 稲|舂《つ》けば
皸《かが》る我が手を今宵もか殿の稚子《わくご》が取りて嘆かむ(万葉集巻十四、東歌....
「わが町」より 著者:織田作之助
マニラへ行く前から黒かったという他吉の孫娘と思えぬほど色も白く、あれで手に霜焼、
皸さえ無ければ申し分ないのだがといわれ、なお愛嬌もよく、下足番をして貰うよりは、....