盛期[語句情報] »
盛期
「盛期〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
盛期の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
ごうとした。健康が衰えて行けば行くほどこの焦躁のために葉子の心は休まなかった。全
盛期を過ぎた伎芸《ぎげい》の女にのみ見られるような、いたましく廃頽《はいたい》し....
「星座」より 著者:有島武郎
る傑出《けっしゅつ》した哲学者であり、また人間であると思った。儒学《じゅがく》最
盛期《さいせいき》の荻生徂徠《おぎゅうそらい》が濫《みだ》りに外来の思想を生嚼《....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
が出現した。その後に次いで来た深甚な沈退時代を見るにつけてもなおさら我々はこの隆
盛期に対して完全な賛美を捧げないわけにはゆかないのである。この時代にはもはや文字....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
っきり記されてある。享禄以降天正までと云えばいわゆる戦国の真っ最中で武田信玄の全
盛期である。 富士の裾野、鍵手ヶ原のこんもりとした森の中に一宇の屋敷が立ってい....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
ませて見た処で辛うじてこの世に止め得るに過ぎなくなるにきまっている。従ってその最
盛期におけるだけの名人名工はその末世にあっては再び現われるものでない。ところで油....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
に油絵技法とその組織というものは、私の考えによると、十六世紀の時代においてその全
盛期であり、油絵技法の最頂点を示し、その時代と人間の生活との親密にして必然の要求....
「安吾武者修業」より 著者:坂口安吾
をまわり、一日中ゴルフで暮して少くとも二十年、十四五でクラブを握って四十前後に最
盛期に達し技術も完成すると云われている。しかし、技術的にはついにフォームの完成し....
「地上」より 著者:島田清次郎
唯一の後援者であった政治家が死んだとき、そのまま芸者稼業をしているにはあまりに全
盛期の我儘が敵をつくりすぎていた。お幸の母は廃れてゆく容色や、肉身の若さを感じは....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
に基くところが多いのである。 短歌と近代詩と 短歌は、万葉を見ても、奈良の
盛期の大伴旅人・山上憶良あたりにも、既に古典としての待遇を受けている。旅人の子家....
「鰍の卵について」より 著者:佐藤垢石
。しかし、一月下旬から四、五月頃までである。奥利根川地方では二、三月頃が、産卵の
盛期である。抱卵した鰍は、流れの強い底石の、それが矢倉に組んである石の天井を捜し....
「季節の味」より 著者:佐藤垢石
らば、いも虫、みみずも、ヒルも珍饌として味の季節を持っているであろうか。 物の
盛期、必ずしも味の季節でないことは分かっている。稔熟の候を味の季節とし、他に多少....
「那珂川の鱸釣り」より 著者:佐藤垢石
の落ち鱸釣りに、それ以上の数を釣ったことはあるが、落ち鱸は食味が劣っているから、
盛期の川鱸釣りの興趣に比べれば、まるで問題にならない。私の父は、若いときから鮎釣....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
とおせんや、「於伝仮名書」の高橋お伝などを見せていたが、恐らくその当時が彼女の全
盛期であったのであろう。女団洲粂八の名は東京中に知れ渡って、その名声|嘖々たるも....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
で、一代の皮肉家緑雨を弔うには極めて相応しい意地の悪い天気であった。 緑雨の全
盛期は『国会新聞』時代で、それから次第に不如意となり、わざわざ世に背き人に逆らう....
「断食芸人」より 著者:カフカフランツ
なのであり、実際、年をとっていくのに衰えないこの芸の特性を思うと、もはや技能の全
盛期にはいない老朽の芸人が落ちついたサーカスの地位に逃げこもうとしているのだ、な....