目に入る[語句情報] » 目に入る

「目に入る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

目に入るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
手から自分の手を離して、袂《たもと》から取り出したハンケチでそれを押しぬぐった。目に入る限りのもの、手に触れる限りのものがまたけがらわしく見え始めたのだ。岡の返....
冬の日」より 著者:梶井基次郎
た。が、誰もそれを見た人はなさそうだった。老人の坐っているところは、それが往来の目に入るにはあまりに近すぎた。それでなくても老人の売っているブリキの独楽《こま》....
高野聖」より 著者:泉鏡花
もじゃ、もちろん田舎《いなか》には刈入《かりいれ》の時よく稲《いね》の穂《ほ》が目に入ると、それから煩《わずら》う、脂目《やにめ》、赤目《あかめ》、流行目《はや....
西湖の屍人」より 著者:海野十三
いる町角をヒョイと曲るたびに、 「ソレあすこだ!」 と、怪青年の黒影が、ぱッと目に入るだけだった。私達と弥次馬とは、ずっと間隔ができてしまった。そして、いつの....
三角形の恐怖」より 著者:海野十三
いと其の蟇口をいじって見ましたが、突然顔をあげて辺りを見廻しました。勿論私の姿も目に入るに違いなかったので私はつと横の路次の方へ大急ぎで飛び込んでゆきました。私....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
跣足の踵に寝まきの裾を貼り付かせ、少しだらだらと踏み下ろして行った。 プールが目に入ると、復一はひやりとして、心臓は電撃を受けたような衝動を感じた。 小径の....
醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
と、鳴いています。それは、一目見るだけで寒さに震え上ってしまいそうな様子でした。目に入るものみんな、何もかも、子家鴨にとっては悲しい思いを増すばかりです。 あ....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
そして、うしろを見ようものなら、なにか妖怪変化がすぐあとをのしのし歩いてくるのが目に入るのではないかと恐ろしい思いをした。疾風が木々のあいだを吹き過ぎると、もし....
西航日録」より 著者:井上円了
雲忽鎖、鉄車衝雨入英京。 (けぶるような青草も暖かに、牧場も畑も平坦の地であり、目に入るすべてはすでに春の色彩をおびていることがみてとれる。威の海も蘇の山も雲が....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
球に向かう。昨夜の船のベッドでは壮大な旅遊を夢みた。頭をめぐらせて暁の窓をみれば目に入るものは何もなく、東の空のしらじらとするところこそすめらみくになのである。....
消えた美しい不思議なにじ」より 著者:小川未明
ぐに下界を目がけて飛んできました。 高い山が目に入り、ついで、いろいろの建物が目に入るように近づきました。すると、円い屋根もあれば、またとがったのもありました....
つばきの下のすみれ」より 著者:小川未明
らしい花を咲いたのです。しかし、この大きなみごとなつばきの木の下にあっては、人の目に入るにはあまりに小さかった。あわれなすみれは、それで、心なしに歩く人々から、....
公園の花と毒蛾」より 著者:小川未明
ばしば、空想したのであります。 けれど、自然の大きな掟は、この小さい、ほとんど目に入るか入らないほどの花の叫びや、願いでは、どうなるものでもなかった。そして、....
泣きんぼうの話」より 著者:小川未明
らぬものがなかったほどでありました。 こんな泣きんぼうでも、おばあさんだけは、目に入るほど、かわいいとみえて、泣きんぼうの後から、どこへでもついて歩きました。....
鳩つかひ」より 著者:大倉燁子
へ帰ると火鉢の前にどっかと坐り今朝の新聞を広げて見た。鳩に関する記事は何より先に目に入る。 一時重体を伝えられた杉山書記官は幸にも経過良好で数日中に退院するとい....