目に浮かぶ[語句情報] » 目に浮かぶ

「目に浮かぶ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

目に浮かぶの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
奈々子」より 著者:伊藤左千夫
《まなこ》に、疑いも恐れもなかったろう。自分はありありと亡き人の俤《おもかげ》が目に浮かぶ。 梅子も出てきた、民子も出てきた。二坪にも足らない小池のまわり、七....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
れながらも、尊王の旗を高くかかげて進んで行こうとしているらしい友だちの姿が半蔵の目に浮かぶ。 「どうだ、青山君。今の時は、一人でも多く勤王の味方を求めている。君....
縮図」より 著者:徳田秋声
然としていた。蒼い無限の海原が自分を吸い込もうとして蜿蜒をうっている、それがまず目に浮かぶのであった。彼女は稲毛の料亭にある宴会に呼ばれ、夜がふけてから、朋輩と....
竜舌蘭」より 著者:寺田寅彦
めかみを伝うて枕にしみ入る。座敷では「夜の雨」をうたうのが聞こえる。池の竜舌蘭が目に浮かぶと、清香の顔が見えて片頬で笑う。 この夜すさまじい雷が鳴って雨雲をけ....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
下水の中ではそうはゆかない。その死は醜悪である。そこで死ぬのは屈辱である。最後に目に浮かぶものは汚穢である。泥土は不名誉と同意義の言葉である。それは小さく醜くま....
迷信解」より 著者:井上円了
伴っていろいろの想像が心に起こり、いわゆる「疑心暗鬼を生ずる」たぐいにて、妄想を目に浮かぶるようになり、樹木に鳥の止まるを見ても怪物のごとくに思い、獣類の走るを....
日を愛しむ」より 著者:外村繁
思われる。無理に喜びを押し殺そうと努めながらも、子供のように上機嫌だった母の顔が目に浮かぶ。目的を達しようとした寸前に、事は破れ去ったのである。母の悔しさは、私....
澪標」より 著者:外村繁
よ」 少し好奇心は動く。中学生の時の友人の話を思い出す。滝湯の娘達の乳房の形も目に浮かぶ。しかしそれだけのことも私にはできない。まして十七の娘の据膳を喰らうよ....
落日の光景」より 著者:外村繁
あわてて再び瞑目する。が、小さい絆創膏が沢山貼られていた、あの男患者の青黒い顔が目に浮かぶ。私はまた急いで目を開く。突きあたりの明るい光線の中で、二人の担送夫は....
随筆 私本太平記」より 著者:吉川英治
絶好なのである。――土質、そこらの草木、往時の水脈、低地の古池――そんなものまで目に浮かぶ。――敗れた正成、正季らの一族はどう逃げ道をとったか? 昔は、この地方....
木綿以前の事」より 著者:柳田国男
れて近よってくるのが常の習いであったらしい。この句はその俊寛のようなあわれな姿が目に浮かぶのである。次には『初茄子』の最初の一巻に、 朝づとめ妻帯寺の鐘の声 ....