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目を向ける
「目を向ける〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
目を向けるの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
がずっと奥までつづいて、そのこちらに車井戸、井戸にとなって物干し場、――ひょいと
目を向けると、小春日のあたたかい日ざしを浴びてひらひらと舞っている幾枚かの干し物....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
眠いとってこづき起こされべえに」にっと片頬に笑みをたたえて妹は君にいたずららしい
目を向ける。 「なんの」 「なんのでねえよ、そんだもの見こくってなんのたしになる....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
子供や女中もいるので、気持に落着きもなかったし、葉子も時には闖入者に対するような
目を向けるので、和やかというわけには行かなかった。彼は少し腹立ち気味で、ふいと出....
「物質群として見た動物群」より 著者:寺田寅彦
事が物理学でわかるはずがない」という簡単な理由から、その研究の結果に正当な注意の
目を向けることなしに看過する傾向があるかと思われる。 人間のごとき最高等な動物....
「連句雑俎」より 著者:寺田寅彦
ある。もしこういう拘束がなかったとすると各自の個性はその最も安易な出入り口にのみ
目を向けるであろうが、定座の掟《おきて》によってそれらのわがままの戸口をふさがれ....
「沓掛より」より 著者:寺田寅彦
こしらえてみたりしたことはあったが、その後は特別に山野の植物界に立ち入った観察の
目を向けるような機会もなくて年を経て来た。最近にある友人の趣味に少しかぶれて植物....
「列のこころ」より 著者:宮本百合子
つつましくうちからもって来るお弁当を使うのだろう。毎日のことで格別そちらの群集に
目を向けるでもなく、若い女事務員が小さい組になって散歩している。水色の交織の事務....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
つしているが、無人境の一得には、いくら行きつ戻りつしたからとて、べつだん怪しげな
目を向ける人もない。それが有ってくれる方が、かえって所望だと言いたいくらい、取合....
「「美しかれ、悲しかれ」」より 著者:堀辰雄
ぬ」を書き上げたあとで、一年ばかり山のなかに孤独に暮してから、ようやく他人の方へ
目を向けるようになり、なにかそれに話しかけたいような欲望を感じながら、「かげろう....
「或る男の手記」より 著者:豊島与志雄
褄の合わないことを云っては、それを自ら意識してる風もなく平気で、私の方へちらと黒
目を向けるのだった。 黒
目を向ける……とは変な云い方だけれど、実際彼女の眼には....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
。それらの思索家は愛することを忘れているのである。獣帯星座は彼らをして、泣く児に
目を向けることを得ざらしむる。神は彼らの魂をおおい隠す。それは微小にして同時に偉....
「空家の冒険」より 著者:ドイルアーサー・コナン
興味を持つようになり、そして彼の失踪後も、世間に現われた種々の問題には、注意深く
目を向けるようになったことは、諸君にも想像されることであろう、――私は一再ならず....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
していえないのである。彼女の明察力、あれほどすばらしかった明察力も、自分の内側に
目を向けるときは、ひどく薄弱なものとなってしまうのだった。だから彼女はあたかも、....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
きたいと思って、活動小屋の前を通りかかる時には看板の画と名題とには勉《つと》めて
目を向けるように心がけている。看板を一|瞥《べつ》すれば写真を見ずとも脚色の梗概....