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「目を通す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

目を通すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
河童」より 著者:芥川竜之介
ているかね?」 やせた河童は腹の袋から一枚の紙をとり出しました。巡査はその紙へ目を通すと、急ににやにや笑いながら、相手の肩をたたきました。 「よろしい。どうも....
誘惑」より 著者:芥川竜之介
ながら、「読んで見ろ」と云う手真似《てまね》をする。女は電灯の光の中にこの手紙へ目を通すが早いか、烈《はげ》しいヒステリイを起してしまう。婆さんは呆気《あっけ》....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
路のことに口を出そうでもない。ただ彼はその大切な帳簿を繰って見て、半蔵の認め方に目を通すというだけに満足した。 「叔父さん、街道の風儀も悪くなって来ましたね。」....
日本脱出記」より 著者:大杉栄
がフランスに着いてからの主な仕事の一つは、毎朝、パリから出るほとんど全部の新聞に目を通すことだった。 『ユマニテ』には、僕が着く早々、北部地方の炭坑労働者の大同....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
/\冷たく事務的にすることに努めた。新吉もその方を悦んで兎も角彼女の手紙に一通り目を通すことだけはした。 しかし今度の手紙には新吉に見逃されぬものがあった。そ....
歯車」より 著者:芥川竜之介
へはいり、ぼんやりと何段かの書棚を見上げた。それから「希臘神話」と云う一冊の本へ目を通すことにした。黄いろい表紙をした「希臘神話」は子供の為に書かれたものらしか....
我が人生観」より 著者:坂口安吾
しかし、芥川賞の選者をひきうけてから、責任を感じているので、なるべく同人雑誌に目を通すだけの殊勝な心を起すようになった。私が人のためにしてあげられることは、そ....
貞操問答」より 著者:菊池寛
ざいますの。」と説明した。新子の気持も言葉も、上ずっていた。 前川氏は、それに目を通すと、 「はア。これは、素晴らしい讃辞じゃありませんか。」と、新子の満足そ....
次郎物語」より 著者:下村湖人
二人は中食前にだいたいの案を朝倉先生に報告することができた。朝倉先生は一通り案に目を通すと、笑いながら言った。 「地方別懇談会とはうまく考えたね。先方では裏をか....
フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
んな不幸も、おれのばあいとは比べものにならない。おれの罪悪の恐ろしい目録にざっと目を通すと、その思想ががっては崇高な卓越した美の幻想と善の威厳にみちていたあの存....
田舎から東京を見る」より 著者:黒島伝治
もこの頃のあわただしさは、東京にいても、二三カ月仕事に打ちこんで新刊の雑誌新聞に目を通すひまなしにいようものなら、取り残されて分らなくなるのではあるまいか。 ....
田舎医師の子」より 著者:相馬泰三
そして黙ってその端書を母の前へつき出した。 母は、それを受取って一通りずーっと目を通すと、何も云わずにそれを自分の針箱の中へ納めて、そのあとですぐにまた、針仕....
ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
かように製本をしている間に、ファラデーは単に本の表紙だけではなく、内容までも目を通すようになった。その中でも、よく読んだのは、ワットの「心の改善」や、マルセ....
註文帳」より 著者:泉鏡花
。 五助は背後向になって、押廻して三段に釣った棚に向い、右から左のへ三度ばかり目を通すと、無慮四五百挺の剃刀の中から、箱を二挺、紙にくるんだのを一挺、目方を引....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
をしてみたいものと商売を物色していたが、ある日、新聞の経済欄に載っている物価表に目を通すうち 『これだ!』 とひざをたたいたのは石炭屋である。そのとき私は十七....