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目を開く
「目を開く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
目を開くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
自分の寝床を手早くたたみながら愛子を呼び起こした。愛子は驚いたように大きな美しい
目を開くと半分夢中で飛び起きた。葉子はいきなり厳重な調子で、
「あなたはあすから....
「或る女」より 著者:有島武郎
朝になって自分が死んで見いだされようとも満足だと思った。しかし次の朝生きたままで
目を開くと、その場で死ぬ心持ちにはもうなれなかった。もっと嵩《こう》じた歓楽を追....
「恩を返す話」より 著者:菊池寛
なく昏倒した。 「甚兵衛どの、甚兵衛どの」と呼ばれる声に、彼はふと自分に返った。
目を開くと、桶側胴《おけがわどう》の鎧を着た若武者が自分のそばに立っているのを見....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
わせました」と驚く声が幽かに聞こえた。
少しは身体の痺れが薄らいだか、此の声で
目を開く事も出来た、聊かながら声を出す事も出来た、余「オヽ秀子さんですか」と云う....
「一夜」より 著者:夏目漱石
た気色《けしき》はない。「隣だ」と髯《ひげ》なしが云う。やがて渋蛇《しぶじゃ》の
目を開く音がして「また明晩」と若い女の声がする。「必ず」と答えたのは男らしい。三....
「俊寛」より 著者:菊池寛
覚めたとき、それは朝だった。疲れ萎びている俊寛の頬にも、朝の微風が快かった。彼が
目を開くと、自分の身体の上に茂り重っている蒼々たる榕樹の梢を洩れたすがすがしい朝....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
泣かれて嫁いだのであった。きけば、彼女はその夜から三日の間は昼夜をわかたず、その
目を開くことができないのであるという。それは開こうとしても開き得ないのであった。....
「李陵」より 著者:中島敦
ということが夢のような気がした。夢だと思いたかった。しかし、壁によって閉じていた
目を開くと、うす暗い中に、生気のない・魂までが抜けたような顔をした男が三、四人、....
「北国の人」より 著者:水野葉舟
る。――この室の主人は朝おそくまで、室の戸をしめて寝ているが、やがて鬱陶しそうに
目を開くと、もじゃもじゃになって、額に垂れかかる、長い髪をうるさそうに手でかきあ....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
だけもないのです、お綾さんの爪にも堪らず、消滅する。 トはっと気を返して、恍惚
目を開く。夢が覚めたように、起上って、取乱した態もそのまま、婦同士、お綾の膝に乗....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
たちが水をくぐって出て行ったあとで、毛布に包まれた。わたしは目を閉じた。 また
目を開くと昼の光であった。わたしたちは大空の下に出たのだ。同時にだれかとびついて....
「放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
私はいったい何処へ行くのかしら……駅々の物売りの声を聞くたびに、おびえた心で私は
目を開く。 あゝ生きる事がこんなにもむずかしいのなら、いっそ乞食にでもなって、....
「魔都」より 著者:久生十蘭
いることを確かめ、これから捕物に行くところだと告げている。
真名古は急にカッと
目を開く。開くといっても糸のように細い眼だから、瞠ったという印象は与えない。糸の....
「環礁」より 著者:中島敦
ばゆ》い光を放つ灼熱の白金の渦巻がぐるぐると廻り出す。いけない! と思ってすぐに
目を開く。 ウカル樹の細かい葉一つそよがない。肩甲骨の下の所に汗が湧き、それが....
「落日の光景」より 著者:外村繁
小さい絆創膏が沢山貼られていた、あの男患者の青黒い顔が目に浮かぶ。私はまた急いで
目を開く。突きあたりの明るい光線の中で、二人の担送夫は担架を持ち上げ、階段を下り....