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目前
「目前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
目前の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「伝吉の敵打ち」より 著者:芥川竜之介
覗《のぞ》いている角度の関係上、どうしても見ることは出来なかった。ただその大きい
目前《もくぜん》の影は疑う余地のない坊主頭《ぼうずあたま》だった。のみならずしば....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
ささむ》に移り変って、とうとう所謂《いわゆる》華燭《かしょく》の典を挙げる日も、
目前に迫ったではございませんか。
私はもうその頃には、だれとも滅多に口を利《き....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
出会わずにすませるのは不本意のことも確かである。云わば彼の心もちは強敵との試合を
目前に控えた拳闘家《けんとうか》の気組みと変りはない。しかしそれよりも忘れられな....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
よくこの間《かん》の消息を語っている。あれは君も知っているでしょう。実際我々には
目前の事さえわからない。」
本間さんは実を云うと、そんな事は少しも知らなかった....
「白」より 著者:芥川竜之介
た。その時|逞《たくま》しい黒犬が一匹、稲妻《いなずま》のように踏切へ飛びこみ、
目前に迫《せま》った列車の車輪から、見事に実彦を救い出した。この勇敢なる黒犬は人....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
。が、追い追いその沈黙が、妙に苦しくなり始めたので、とり敢えず話題を開拓すべく、
目前の馬を指さしながら、
「好い馬だな。持主は誰だい。」と、まず声をかけた。する....
「少年」より 著者:芥川竜之介
洋の聖者《しょうじゃ》なるものの、――いや、彼の隣りにいるカトリック教の宣教師は
目前に奇蹟を行っている。
宣教師は何ごとも忘れたように小さい横文字の本を読みつ....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ある。地獄の与える苦しみは一定の法則を破ったことはない。たとえば餓鬼道の苦しみは
目前の飯を食おうとすれば飯の上に火の燃えるたぐいである。しかし人生の与える苦しみ....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
申しましょうか。そうして私は実に、そう云う外界の中に、突然この存在以外の存在を、
目前に見たのでございます。私の錯愕《さくがく》は、そのために、一層驚くべきものに....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
月に大学の英文科を卒業していた。従って衣食の計《はかりごと》を立てることは僕等の
目前に迫っていた。僕はだんだん八犬伝を忘れ、教師《きょうし》になることなどを考え....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
は、随分あぶない橋を渡るようなものだとは思いましたが、何しろ差当ってそのほかに、
目前の災難を切り抜ける妙案も思い当りませんから、明くる日の朝思い切って、「しょう....
「或る女」より 著者:有島武郎
。この瞬間だけは葉子の胸は呼吸もできないくらい引き締められた。それでも葉子は現在
目前の歓楽をそんな心痛で破らせまいとした。そしてそのためには倉地にあらん限りの媚....
「宣言一つ」より 著者:有島武郎
、問題解決の当体たる自分たちのみが持っているのだと気づきはじめた。自分たちの現在
目前の生活そのままが唯一の思想であるといえばいえるし、また唯一の力であるといえば....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
上げるのを見る時なぞは、君はなんと言っても心から幸福を感ぜずにはいられない。君は
目前の生活を決して悔やんでいるわけではないのだ。それにも係わらず、君は何かにつけ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
物を或る神秘な力が鞭ちつつ、分化から分化へと飛躍させて来た。誰がこの否む可らざる
目前の事実に驚異せずにはいられよう。地上の存在をかく導き来った大きな力はまた私の....