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「目敏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

目敏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
あらくれ」より 著者:徳田秋声
ゆうが夜おそくまで、母親の側に坐って、足腰を揉ませられたりした。夜更《よなか》に目敏《めざと》い母親の跫音《あしおと》が、夫婦の寝室《ねま》の外の縁側に聞えたり....
雁の童子」より 著者:宮沢賢治
ろ》、ある日のこと、童子が俄《にわ》かに帰っておいでです。母さまが窓《まど》から目敏《めざと》く見付《みつ》けて出て行かれました。 須利耶さまは知らないふりで....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
焚《た》いてパチパチ音がする。僕が前の縁先に立つと奥に居たお祖母《ばあ》さんが、目敏《めざと》く見つけて出てくる。 「かねや、かねや、とみや……政夫さんが来まし....
彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
た。その時ついでに二人の寝ている座敷を蚊帳越《かやご》しに覗《のぞ》いて見たら、目敏《めざと》い母も昨日《きのう》の汽車の疲が出たせいか、まだ静かな眠《ねむり》....
琥珀のパイプ」より 著者:甲賀三郎
た。私も思わず彼の後を追った。 みると床板を上げた辺に一枚の紙片が落ちて居た。目敏くその紙片を見つけた松本は、一寸驚いた様子で、一度拾おうとしたが、急に止めて....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
という紙が載っていて、そこに、「間諜フン大尉の件」という見出しのついていたのを、目敏く読みとった。 (フン大尉か)と、仏は口の中で間諜の名をくりかえした。 ア....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
引伸ばしながら、 「もし、大分漏りますが、もし葉越さん。」 と呼んだが答えぬ。目敏そうな人物が、と驚いて手を翳すと、薄の穂を揺るように、すやすやと呼吸がある。....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
が聞かしたくない、叔父が一人寝てござるんだ。勇士は霜の気勢を知るとさ――たださえ目敏い老人が、この風だから寝苦しがって、フト起きてでもいるとならない、祝儀は置い....
野道」より 著者:幸田露伴
無かったが、真鍮刀でその一茎を切って手にして一行のところへ戻って来ると、鼠股引は目敏くも、それは何です、と問うた。何だか知らないのであるがそう尋ねられると、自分....
黒百合」より 著者:泉鏡花
るばかり。それでも瀬を造って、低い処へ落ちる中に、流れて来たものがある、勇美子が目敏く見て、腕捲りをして採上げたのは、不思議の花であった。形は貝母に似て、暗緑帯....
星女郎」より 著者:泉鏡花
かく御免を、) 高縁へ腰を蹂って、爪尖下りに草鞋の足を、左の膝へ凭せ掛けると、目敏く貴婦人が気を着けて、 (ああ、お濯ぎ遊ばしましょうね。) と二坪ばかりの....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
な。 確に、カチリと、簪の落ちた音。お拾いなすった間もなかったがと、御老体はお目敏い。……翌朝、気をつけて御覧なさると、欄干が取附けてござります、巌組へ、池か....
地上」より 著者:島田清次郎
たうた後、彼は暗い階段を昇った。 「誰? 大河さん? おはいりなさい」 静子が目敏く見つけて、ためらっている彼の意識から「遠慮」をはぎとってしまった。彼は微笑....
日蔭の街」より 著者:松本泰
ではないか」老人は苦りきっている。 私はその時、老人が卓の抽出しに隠したものを目敏く見付けた。それは燃えるように真赤な緋房ではないか。サボイ旅館の食堂で令嬢の....
高原の太陽」より 著者:岡本かの子
わからない。やはり表面には退屈な表情より現われて来ない。すると、ばあやはさすがに目敏く見て取り 「お嬢さまご退屈ですか、おやおや。じゃ一つ重光さんに唄でもうたっ....