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「目深〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

目深の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
浅草公園」より 著者:芥川竜之介
76 前の石燈籠の下部。少年は前と変りはない。そこへ帽を目深《まぶか》にかぶった巡査《じゅんさ》が一人歩みより、少年の肩へ手をかける。少....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
厚《あつ》の大刀が大袈裟《おおげさ》に左近を斬り倒した。左近は尻居に倒れながら、目深《まぶか》くかぶった編笠の下に、始めて瀬沼兵衛の顔をはっきり見る事が出来たの....
」より 著者:芥川竜之介
電車停留場へ行った。行くとすでに田中君は、例のごとく鍔広《つばびろ》の黒い帽子を目深《まぶか》くかぶって、洋銀の握りのついた細い杖をかいこみながら、縞の荒い半オ....
魚河岸」より 著者:芥川竜之介
のみならず彼も中《あ》てられたのか、電燈の光に背《そむ》きながら、わざと鳥打帽を目深《まぶか》にしていた。 保吉《やすきち》はやむを得ず風中《ふうちゅう》や如....
或る女」より 著者:有島武郎
もぎどう》にこれだけいって、ふいと手欄《てすり》を離れて、麦稈《むぎわら》帽子を目深《まぶか》にかぶりながら、乳母に付き添った。 葉子は階子《はしご》の上がり....
紅玉」より 著者:泉鏡花
ば爪立ち、踞めば踞むを透し視めて、今はしも激しく恐怖し、慌しく駈出す。) 帽子を目深に、オーバーコートの鼠色なるを被、太き洋杖を持てる老紳士、憂鬱なる重き態度に....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
て来たのか、それは知らない。そうして引返したのは町の方。 そこに、先刻の編笠|目深な新粉細工が、出岬に霞んだ捨小舟という形ちで、寂寞としてまだ一人居る。その方....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
さえ、リボンでも飾った状に赤木綿の蔽を掛け、赤い切で、みしと包んだヘルメット帽を目深に被った。…… 頤骨が尖り、頬がこけ、無性髯がざらざらと疎く黄味を帯び、そ....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
やその時、同一赤羽の停車場に、沢井の一行が卓子を輪に囲んだのを、遠く離れ、帽子を目深に、外套の襟を立てて、件の紫の煙を吹きながら、目ばかり出したその清い目で、一....
露肆」より 著者:泉鏡花
らせるように霧の中をちょこちょこ走りで、玩弄物屋の婦の背後へ、ぬっと、鼠の中折を目深に、領首を覗いて、橙色の背広を着、小造りなのが立ったと思うと、 「大福餅、暖....
黒百合」より 著者:泉鏡花
に奇寓する食客であるが、立寄れば大樹の蔭で、涼しい服装、身軽な夏服を着けて、帽を目深に、洋杖も細いので、猟犬ジャム、のほうずに耳の大いのを後に従え、得々として出....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
、今夜は分けて線香の香の芬と立つ、十三地蔵の塚の前には外套にくるまって、中折帽を目深く、欣七郎が杖をついて彳んだ。 (――実は、彼等が、ここに夜泣松の下を訪れた....
化鳥」より 著者:泉鏡花
て、雨の降るなかをびしょびしょ濡れながら、橋の上を渡って行くのは猪だ。 菅笠を目深に被って、※に濡れまいと思って向風に俯向いてるから顔も見えない、着ている蓑の....
註文帳」より 著者:泉鏡花
、」 「それでは、」と身を進めて、さすがに堪え難うしてか、飛込む勢。中折の帽子を目深に、洋服の上へ着込んだ外套の色の、黒いがちらちらとするばかり、しッくい叩きの....
活人形」より 著者:泉鏡花
、がこれから面白くなるだろうと思うのです。追々お談話申しましょう。と帽子を取って目深に被り、戸外へ出づればかの男は、何方へ行きけん影も無し。脱心たりと心|急立ち....