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「目路〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

目路の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
ちらとの影もないのです。見えない程にも身延のお山につづく街道は、谷も霧、杜も霧、目路の限り夢色にぼうッとぼかされて只いち面の濃い朝霧でした。しっとり降りた深いそ....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
かでした。 一四 表はもう四ツ近かった。 暗い。 大江戸は、目路の限り、黒い布をひろげたような濃い闇です。 「供! 主水之介じゃ。供の者はお....
石狩川」より 著者:本庄陸男
見えるものは、草また草のひと色である。 風が吹き荒れて来た。野に低く雲がおりて目路《めじ》を蔽《おお》った。青い草の海は逆巻くのだ。行く手にふさがる樹林や丘陵....
二つの庭」より 著者:宮本百合子
そうやってつまれるこまかい野の花々は伸子のこころを鎮め、広い地平線の眺めは伸子の目路《めじ》をはるかにした。伸子は、だんだん、気分が落ちつき、そして、うれしくな....
播州平野」より 著者:宮本百合子
会堂の円屋根の遙か彼方に連っている山々。農家の馬小屋の間から思いもかけずに展がる目路に高い西の山々。どの山も、秋の山襞を美しく浮き立たせ、冬の近づく人間の暮しを....
伸子」より 著者:宮本百合子
動車から眺めたより、この辺はずっと雄大であった。紆曲《うねり》の緩やかな笹山が、目路《めじ》を遮る何ものもなく、波うちつづく。遙か遙か下界に、八月の熱気でぼーっ....
黄昏」より 著者:宮本百合子
たい過去の記憶が甦って来る。外見には、田舎出らしい態度の隙を現しながらちらちら、目路《めじ》を掠める賑やかな燈光のかげに、おくめは、おぼつかなく昔と今とを照し合....
禰宜様宮田」より 著者:宮本百合子
がて、うねりうねって、向うのずうっと向うに見えるもっと大きい河に流れ込むのから、目路も遙かな往還に、茄子《なすび》の馬よりもっと小っちゃこい駄馬を引いた胡麻粒ぐ....
小景」より 著者:宮本百合子
夕暮が迫って来た。 舗道に人通りがぐっと殖え、遙か迄見とおしのきいていた街路の目路がぼやけて来た。 空気の裡には交響楽のクレッセンドウのように都会の騒音が高....
田端の汽車そのほか」より 著者:宮本百合子
、もと藤堂の樫の木や石倉でさえぎられていた眺望は一変して、はるばると焼けあと遠く目路がひらけた。九尺に足りないその裏通りのあちらの塀から這い出した南瓜の蔓と、こ....
ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
かない灌木の群生しているところから向うを見ると、さっき森のかげに曲って行った川が目路から開けて来て、それがまた遙か向うに没している。そこのところに村が見える。点....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
をのせ、草道を先へゆき、わたしたちは歩いて二十丁ほどゆき雑木道を抜けるといきなり目路がひらけて夷隅川が海へ入る眺望があります。狭いこんもりした樹かげ路からちらり....
平塚明子(らいてう)」より 著者:長谷川時雨
さな窓も青葉で一ぱいで御座います。思いは遠く走って、那須野の、一望に青んだ畑や、目路《めじ》のはての、村落をかこむ森の色を思いうかべます。御住居《おすまい》は、....
曙覧の歌」より 著者:正岡子規
うむ窓に霰《あられ》うつ声 砂月涼《さげつすずし》 そとの浜|千《ち》さとの目路《めじ》に塵《ちり》をなみすずしさ広き砂上《すなのうえ》の月 薔薇《そうび....
小説 円朝」より 著者:正岡容
何をもて生き抜いていこうというのだ。 ……何もない、かもない。四方八方、よしや目路のかぎりが再びいつかの大地震のときのよう大焼野原になってしまったとて唯ひとつ....