目近[語句情報] » 目近

「目近〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

目近の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
若い女は瓶《ほたり》を執って、彼に酒を勧《すす》むべく、炉のほとりへ坐りに来た。目近《まじか》に坐っているのを見れば、色の白い、髪の豊な、愛嬌《あいきょう》のあ....
東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
」と説明を補足した。 細道の左右に叢々たる竹藪が多くなってやがて、二つの小峯が目近く聳《そび》え出した。天柱山に吐月峰《とげっぽう》というのだと主人が説明した....
春昼」より 著者:泉鏡花
ると、突当りが、樹の枝から梢の葉へ搦んだような石段で、上に、茅ぶきの堂の屋根が、目近な一朶の雲かと見える。棟に咲いた紫羅傘の花の紫も手に取るばかり、峰のみどりの....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
《おうよう》なものであった。仰《おおせ》の趣は承り候、さりながら敵地に入り、敵を目近に置きながら留まるべくも候わねば、明日は我が人数を先へ通し候べし、御養生候て....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
崎に伸び、伊皿子かけて一渡り麻布を望む。烏は鴎が浮いたよう、遠近の森は晴れた島、目近き雷神の一本の大栂の、旗のごとく、剣のごとく聳えたのは、巨船天を摩す柱に似て....
岡本一平論」より 著者:岡本かの子
る様に見うけられます。暴食の癖なども殆ど失せたせいか、健康もずっと増し、二十|貫目近い体に米琉の昼丹前を無造作に着て、日向の椽などに小さい眼をおとなしくしばたた....
歯車」より 著者:芥川竜之介
馬の上に跨っていた。しかし彼の敵だったのは、―― 「※!」 僕は又遠い過去から目近い現代へすべり落ちた。そこへ幸いにも来合せたのは或先輩の彫刻家だった。彼は不....
家なき子」より 著者:楠山正雄
。これがわたしの夢想の結末であった。 いよいよいけなくなったことは、冬がいまや目近にせまってきたことであった。わたしたちは目も見えないような雨とみぞれの中をみ....
新春・日本の空を飛ぶ」より 著者:坂口安吾
賀へ。山上にまるい大穴が花弁型にたくさん有るのは旧砲台の跡らしい。東京では皇居を目近に見下してきた。日本の空にはタブーがなくなったのである。 海上へでる。すで....
桑の虫と小伜」より 著者:佐藤垢石
担いでその沼へ出かけて行った。ある秋の日、この小伜がその古沼から大きな鮒を、一貫目近いほど釣ってきた。伜は、息をはずませながら、手柄を誇るのであった。 『それは....
鯛と赤蛸」より 著者:佐藤垢石
こに説く必要はない。とにかく大仕掛けの網であるから、一網曳くと五、六百匁から二貫目近い大鯛が五、六百貫も入ることがある。一漁期に五千貫乃至一万貫もの漁があって、....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
しかし言合わしたごとく、同時に塚の枯草の鳥冠を視た。日影は枯芝の根を染めながら、目近き霧のうら枯を渡るのが、朦朧と、玉子|形の鶏を包んで、二羽に円光の幻を掛けた....
案内人風景」より 著者:黒部溯郎
いた尾根上の展望。三人はここにルックを投げだして暫く楽しい憩いを続けるであろう。目近かく仰ぎ上げる頂上を掠めて、白い雲が飛んでは碧空に吸われるように消える。岩燕....
一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
小さい緩傾斜の台地に落着くとすぐに食事にする。霧は相変らず辺りをかすめて巻上り、目近かに見える烏帽子型の岩峰や、尾根尾根に並び立つ尖峰を薄くぼかして、奇異な景観....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
うか? あるいは彼は彼女に従わず、私は敗軍の将ですと告白すべきであろうか? 冬は目近まできていた。だから、もし出て戦うなら、いま即刻戦わなければならない。なおも....