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目送
「目送〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
目送の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
々《そうそう》帳場机の方へ逃げて行ってしまった。大井はその後姿《うしろすがた》を
目送しながら、わざとらしく大きな声で笑い出したが、すぐに卓子《テエブル》の上のウ....
「星座」より 著者:有島武郎
かいおうとしたらしかったが、思い返したか、心|許《もと》なげな眼つきでその後姿を
目送しただけで何もいわなかった。
襖が静かに締まった。
園はもう一つ言ってお....
「禁酒の心」より 著者:太宰治
って、立ち上り、「いくら?」という。 他のお客は、このあわれなる敗北者の退陣を
目送し、ばかな優越感でぞくぞくして来るらしく、 「ああ、きょうは食った。おやじ、....
「源おじ」より 著者:国木田独歩
後振向きもせず、源叔父はその後影《うしろかげ》角《かど》をめぐりて見えずなるまで
目送《みおく》りつ、大空仰げば降るともなしに降りくるは雪の二片三片《ふたひらみひ....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
せ、ちょいと御免あそばせ」 あわただしく木戸口に走り出で、項《うなじ》を延べて
目送せり。その視線中に御者体の壮佼《わかもの》あり。 何事や起こりたると、見物....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
って色々の人を送った。彼田圃を渡り、彼雑木山の一本檜から横に折れて影の消ゆるまで
目送した人も少くはなかった。中には生別即死別となった人も一二に止まらない。生きて....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
華美なるカシミールのショールと紅のリボンかけし垂髪とはるかに上等室に消ゆるを
目送して、歩を返す時、千々岩の唇には恐ろしき微笑を浮かべたり。 医師が見舞うた....
「死者の書」より 著者:折口信夫
も、雲の上の尊者の姿も、ほのぼのと暗くなり、段々に高く、又高く上って行く。姫が、
目送する間もない程であった。忽、二上山の山の端に溶け入るように消えて、まっくらな....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ち去る人というよりも、むしろ死にかかってる人のようであった。ジルノルマン氏は彼を
目送していたが、扉《とびら》が開かれてマリユスが外に出ようとした時、性急ながむし....
「犬神娘」より 著者:国枝史郎
くまうことを、体よく拒絶ったばかりでなく、国境いにおいて斬殺する目的のもとに「東
目送り」という陰険きわまる法を、あえて行なうことになりました。 義に厚く情にも....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
、二人の供に前後を守らせ、歩いて行く美作の背後姿が、曲がって見えなくなった時まで
目送をしていた桃ノ井兵馬は、こうつぶやくと立ち上がった。「俺も寝倉へ帰るとしよう....
「取舵」より 著者:泉鏡花
く漕戻しつ。観音丸にちかづくものは櫓綱を弛めて、この異腹の兄弟の前途を危わしげに
目送せり。 やがて遙に能生を認めたる辺にて、天色は俄に一変せり。――陸は甚だ黒....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
「さあ行こう」と、お兄様は下駄履きで先に立たれます。 「お土産をね」と、祖母様が
目送されます。 毎日急ぎ足で学校へ通う道をぶらぶら歩いて、牛の御前の前を通り、....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
り、夏衣を脱して冬衣を襲う。海上白波を翻す。スコットランドの連綿たる丘陵を左方に
目送しつつ、午前十時リース湾内に入る。エジンバラの市街およびフォース・ブリッジの....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
一向驚くこともなかった。むしろ当然、そうするのがよいのだという気がしてただ黙って
目送していた。やがて三十分も経ったであろうか。獣の行列は遂に尽きた。そして一番し....