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直射
「直射〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
直射の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
しているというわけのものではない。だから私はそれをも偽瞞と言うのではない。しかし
直射光線には偏頗《へんぱ》があり、一つの物象の色をその周囲の色との正しい階調から....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
拝家ですわ。」「ははん。」と麻川氏はやや得意そうに電灯の笠を見た。真上から電灯の
直射をうけて痩せた麻川氏の両頬へ一筋ずつ河のように太い隈が現われた。麻川氏「ああ....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
上に垂れさがっている陰へ、マヌエラが座間を呼びこんだ。雨期あけの灼りつけるような
直射のしたは、影はすべてうす紫に、日向の赭土は絵具のように生々しい。それがコンデ....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
岳の岩壁から滝のような雪崩が落ち、その音が意外に大きかったので驚いた。冬期太陽の
直射によって出る雪崩は、こうした岩壁等の急斜面のみらしい。しかも雪質が湿っている....
「月世界探険記」より 著者:海野十三
ると、月の世界の表面には、何も住んでいない。それは第一空気もなく水もないし太陽が
直射すると摂氏の百二十度にも上るのに、夜となれば反対に零下百二十度にも下ってしま....
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
山腹に並ぶイギリス人の館の屋根はうつくしい淡紅色であり、そしてギラギラする太陽の
直射のもと、街ゆく人たちの帽子も服も靴も、みな真白であった。どこからともなく、熱....
「幽霊船の秘密」より 著者:海野十三
し辛抱せい」 船長は、子供にいいきかせるようにいった。だが、実のところ、太陽の
直射熱はいよいよはげしくなって、誰の咽喉もからからにかわいてくるのだった。これで....
「死者の書」より 著者:折口信夫
ずうと這い寄って来た身狭乳母は、郎女の前に居たけを聳かして、掩いになった。外光の
直射を防ぐ為と、一つは、男たちの前、殊には、庶民の目に、貴人の姿を暴すまい、とす....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
スは身動ぎもせずにすわっていた。ずっと遠い、石ばかりの荒野の入口で、熾烈の太陽に
直射されながら坐っていたあのラザルスのように――。 五 神聖なるローマ大帝ア....
「山の湯雑記」より 著者:折口信夫
居れば、居られない程ではない。が、三時半にかっきりと、前山の外輪にそれが隠れて、
直射は来なくなる。それまではきっと出あるく事にして居た。 古くから聞えて居る最上....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
が、子供らしくとぼけ、胸を反らして小田島に逆らう様な恰好をした――その時、太陽が
直射した。そして額や頬に初秋の海風が一しきり流れると彼女は急に崩折れた。 ――腕....
「動く絵と新しき夢幻」より 著者:小川未明
と思う。 例えば海の水を描くとか、或は真夏の山を描くとか、又は森の深緑に光線の
直射しているところを描くとか、それ等は真実動いているように見える。けれども、それ....
「希望」より 著者:小川未明
夏の晩方のことでした。一人の青年が、がけの上に腰を下ろして、海をながめていました。 日の光が、
直射したときは、海は銀色にかがやいていたが、日が傾くにつれて、濃い青みをましてだ....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
、一応説明してみますと、まず稲には、因として籾がある。これが田に蒔かれて、日光の
直射や農夫の手入れの助縁を受け、そして秋一粒千倍の実りの結果が得られる。すなわち....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
ばかりではない。南方の天空へ廻って来た日輪は、南面の山腹へ対して万遍なくその光を
直射しその熱をふりそそぎ、為に山肌に敷かれた松の落葉や、楢、櫟、榛などの落葉がか....