相も変らず[語句情報] » 相も変らず

「相も変らず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

相も変らずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
り記憶している者がなかった。局長や、もろもろの課長連が幾人となく更迭しても、彼は相も変らず同じ席で、同じ地位で、同じ役柄の、十年一日の如き文書係を勤めていたので....
」より 著者:海野十三
う窓も明いている風に見えなかった。ただ一つ、気になるといえば気になるのは、前から相も変らず、同じ場所にポツンと止まっている黒い大きい蠅が一匹であった。 「どうし....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
ああ。青竜王。――僕は今日きっと青竜王が帰って来ると思ったんです」 といって、相も変らず頭部にはピッタリ合った黒い頭巾を被り、眼から下を三角帛で隠した覆面探偵....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ナ夫人が、碌々に挨拶も返さず、石卓の上に荒々しい片手突きをして云った。 「ああ、相も変らず高雅な団欒でございますことね。法水さん、貴方はあの兇悪な人形使いを――....
光の中に」より 著者:金史良
同感です。だが私としては子供達と愉快にやってゆきたかっただけのことです」廊下では相も変らず先の子供たちが騒ぎ合いながら、時々戸を開けては洟たれ顔で覗いたり、目を....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
「ええ五月蠅え! こん畜生! つべこべ云わずと早く逢わせろ!」 しかし若者は相も変らず絹糸のような軟い調子でニヤリニヤリと笑うのである。 「まあまあご辛抱な....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
らの手紙だった。彼は思わず力一杯畳の上に叩きつけた。妻は眼を丸くした。 内容は相も変らず嘲笑に充ちて居た。近いうちにお宅へお礼に出るなどと書いてあった。それに....
天馬」より 著者:金史良
いながらぞろぞろと出て来た。蒼然とした月がぼっかり空にかかっているけれど、小路は相も変らず薄暗かった。彼は少しくおどけて桃の枝を担いだまま体を揺りながら二間程進....
大脳手術」より 著者:海野十三
があろうと、これだけは売ることはできない。 欠乏と懊悩を背負って喘ぎ喘ぎ、私は相も変らず巷を血眼になって探し歩いた。しかし運命の神はどこまでも私に味方をせず、....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
そうと知られた上は、口を覆うよりも針を立てよ――ではないか。 しかし村次郎は、相も変らず黙々としているので、その物静けさには一種不気味な気持に駆られる場合さえ....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
しれない」 いわれて造酒は厭な顔をしたが、田舎者の方をジロリと見た。と田舎者は相も変らず、ノッソリとした様子をして、道場の真ん中に立っていた。たいして疲労れて....
月世界競争探検」より 著者:押川春浪
を出発してからもう一週間になる。しかしまだ月らしい影も見えない。毎日毎日見る物は相も変らず、真白な雲ばかり、従者の東助はそろそろ心配し始めて、 「若旦那様、今日....
犬神」より 著者:小酒井不木
いと思うと、私の血は、前よりも倍の速度で汚れて行くかのように思われた。 彼女は相も変らず灰をなめ泥を喰った。近ごろになって彼女はなまぐさい汁のかかった泥を一層....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
ので、菊子は、橋の下を流れる水にガスの光が美しく映るのを凝視していた。 島村は相も変らず泣いている。水の上に流れる光が伸び縮みするのが、いかにも美しい。あの濁....
和製椿姫」より 著者:大倉燁子
な美しい顔に、微笑が浮んでいるのを見て、何だか胸が一杯になった。 彼女の胸には相も変らず、椿の花が一輪さしてあった。私は病院から連れ戻ったかたちにして、亡躯を東山家に運んだのだった。....