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相思
「相思〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
相思の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
た。それであるから、姉妹もただならぬほど睦まじいおはまがありながら、別後一度も、
相思の意を交換した事はない。 表面すこぶる穏やかに見えるおとよも、その心中には....
「縮図」より 著者:徳田秋声
ことのできない愛妻の記念であった。妻は彼の門地にふさわしい家柄の令嬢で、岩谷とは
相思のなかであり、死ぬ時彼に抱かれていた。写真帖には処女の姿も幾枚かあったが、結....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
十三 女巫澆酒雲満空。玉炉炭火香鼕鼕。海神山鬼来座中。紙銭※風。
相思木帖金舞鸞。 ※杯盤。山魅食時人森寒。 境の足は猿ヶ馬場に掛った。今や影一....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
だの木像だのがあって、三悪道の一なる餓鬼道を示したものがあったと見える。前に、「
相思はぬ人を思ふは大寺の餓鬼のしりへに額づく如し」(巻四・六〇八)とあったのを参....
「わかれ」より 著者:国木田独歩
り。 かれに恋人あり、松本|治子とて、かれが二十二の時ゆくりなく相見て間もなく
相思うの人となりぬ。十年互いに知りてついに路傍の石に置く露ほどの思いなく打ち過ぐ....
「阿部定という女」より 著者:坂口安吾
が、それを恋愛とは考えていないのです。そして、自分の愛する人に自分も亦愛された、
相思相愛、つまり吉さんとの場合だけが恋であり、三十いくつで一代の恋を始めて知った....
「学生と生活」より 著者:倉田百三
ものだ。こちらの熱情がそれを呼びさまし、相手の注意がこちらに向いて、ついに熱烈な
相思の仲になることもあるものだ。先方が稚い娘であるときにそうしたことがある。が、....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
行った。 彼は遊里というものを知らなかった。傾城にマコトなし、などと云うのに、
相思相愛というのが解せない話で、そういうものが実在するにしても一興だが、行ってみ....
「こま犬」より 著者:岡本綺堂
たかということで、それについてまたいろいろの想像説が伝えられた。辰子はかの教員と
相思の仲であったところ、その男が突然に死んでしまったので、辰子はひどく悲観して、....
「猿ヶ京片耳伝説」より 著者:国枝史郎
籠屋、桔梗屋へやれ」 と武士は、あわてたように云った。 お蘭は、月を越すと、
相思の仲の、渋川宿の旅舎、布施屋の長男、進一のもとへ輿入ることになっていた。今夜....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
鈴子と私とは歌の神に媒介されたようなものだった。少なくとも歌の上だけでは二人は
相思の仲であるような空気がかもされた。それから後に見せ合う歌は相聞の部に入る歌に....
「土の中からの話」より 著者:坂口安吾
まり働くことが好きでない。そのうちに、よその後家で桜大娘という女の子と懇になり、
相思相愛で、婚礼をあげようということになったが、何がさて麿は怠け者で余分のたくわ....
「露の答」より 著者:坂口安吾
という通人で、知る程の男子に悔恨を植えた佳人です。かほどの人が五十三の五郎兵衛と
相思の仲に落ちたという、もとより五郎兵衛に凡ならざる取柄があってのことでしょうが....
「悲願に就て」より 著者:坂口安吾
諦めていた一人の娘との別れに自作の白粉を餞別しようと思って、自分ではその壺へ「長
相思、思ひ何ぞ長き――」というような詩をひとつ気取って焼きこんでやろうと思ってい....
「蛇性の執念」より 著者:大倉燁子
は武雄さんの実兄で、御木井男爵家の嫡男文夫さんの妻だった人なのです。しかも二人は
相思の仲だったのですもの、その文夫さんが亡くなって、まだ一年も経たないのにもう弟....