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眇
「眇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
眇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
。その声に驚かされたのであろう。側《かたわら》で湯を浴びていた小柄な、色の黒い、
眇《すがめ》の小銀杏《こいちょう》が、振り返って平吉と馬琴とを見比べると、妙な顔....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
瞞は世界の歴史を左右すべき、最も永久な力かも知れない。
つまり二千余年の歴史は
眇《びょう》たる一クレオパトラの鼻の如何に依《よ》ったのではない。寧《むし》ろ地....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
拵《こしら》えるのは、西光法師《さいこうほうし》などの嵌《はま》り役じゃ。おれは
眇《びょう》たる一|平家《へいけ》に、心を労するほど老耄《おいぼ》れはせぬ。さっ....
「親子」より 著者:有島武郎
はじめてその人を見たのだった。想像していたのとはまるで違って、四十|恰好の肥った
眇眼の男だった。はきはきと物慣れてはいるが、浮薄でもなく、わかるところは気持ちよ....
「食魔」より 著者:岡本かの子
鼈四郎は病友がいった通り、彼が死んでからも顔を描き上げようとはしなかった。隻眼を
眇にして睨みながら哄笑している模造人面疽の顔は、ずった偶然によって却って意味を深....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
から、ここまでの所作を片肘つき、頬を支えて、ちょうどモデルでも観察するように眼を
眇めて見ていた逸作は、こう言うと、身体を揺り上げるようにして笑った。 雛妓は、....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
然たる中に立って誰からとなく此咄を聞きつゝ何とも言い知れない感慨に堪えなかった。
眇たる丸善の店は焼けようと焼けまいと社会に何の影響も与えまいが、此中に充積する商....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
仕返しは、どの様に望むかの。まさかに、生命を奪ろうとは思うまい。厳しゅうて笛吹は
眇、女どもは片耳|殺ぐか、鼻を削るか、蹇、跛どころかの――軽うて、気絶……やがて....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
三味線背負った乞食坊主が、引掻くようにもぞもぞと肩を揺ると、一眼ひたと盲いた、
眇の青ぶくれの面を向けて、こう、引傾って、熟と紫玉のその状を視ると、肩を抽いた杖....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
っては、宿賃を払わずに、こちとら夜遁をするまでも、三味線を聞かなきゃ納まらない。
眇、いぐちでない以上は、古道具屋からでも呼んでくれ。」 「待ちなさりまし。おお、....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
十|恰好。骨組の逞ましい、この女の足袋は、だふついて汚れていた……赤ら顔の片目|
眇で、その
眇の方をト上へ向けて渋のついた薄毛の円髷を斜向に、頤を引曲げるようにし....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
竈にくべた生薪のいぶったような心地がする。屋根の下の観光は、瑞巌寺の大将、しかも
眇に睨まれたくらいのもので、何のために奥州へ出向いたのか分らない。日も、懐中も、....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
らしていたのです。 するとどこからやって来たか、突然彼の前へ足を止めた、片目|
眇の老人があります。それが夕日の光を浴びて、大きな影を門へ落すと、じっと杜子春の....
「巴里の唄うたい」より 著者:岡本かの子
じを与える。だが、眼はこれ等すべてを裏切る憂欝な大きな眼だ。よく見るとごく軽微に
眇になっている。その瞳が動くとき娘の情痴のような可憐ななまめきの全幅の諧調を会得....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
の植物は、奇花を着け、異香を放ち、且つ緑翠を滴らせて、個々電燈の光を受け、一目|
眇として、人少なに、三組の客も、三人のボオイも、正にこれ沙漠の中なる月の樹蔭に憩....