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真っ暗
「真っ暗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
真っ暗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
意気地なしがこの後なにをなし得るものでもないと、彼は多寡をくくって胸をさすった。
真っ暗な枯れ田の上を雁が啼《な》いて通った。ここらへ来ると、夜風が真っ北から吹き....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
込んで、あらん限りのともし灯を奪ってゆくように、片端からみな打ち消してしまった。
真っ暗ななかで男たちは息をのんだ。女たちはおもわず泣き声をあげた。外の嵐はまだ吹....
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
の官舎や左側の無電室には、明るい灯がともっているが、真ン中の海に面した灯台の頭は
真っ暗闇だ。地上の灯の余映を受けて、闇の中へ女角力の腹のようにボンヤリと浮き上っ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
その頃の湯風呂には、旧式の石榴口と云うものがあって、夜などは湯煙が濛々として内は
真っ暗。しかもその風呂が高く出来ているので、男女ともに中途の階段を登ってはいる。....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
戸の隙間から光りが洩れているらしく思われたが、さて近寄って見ると、そこらはすべて
真っ暗であった。わたしはいよいよ取りのぼせて入り口のドアに駈けよると、そのドアは....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
行き、わたしたちの駈け通る両側の黒い樹樹の影は混乱した軍勢のようにざわめきます。
真っ暗な森を駈け抜ける時などは、一種の迷信的の恐怖のために、総身に寒さを覚えまし....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
掛毛氈のうしろにあるドアをあけて小さい部屋にはいると、強い感動に胸を躍らせながら
真っ暗な階段を降りかかった。 「たぶん……」と、彼は考えた。「六十年前にも今時分....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
」と、こんなことを呶鳴ったように記憶している。 それと同時に私は起ちあがった。
真っ暗のなかを窓の方へ突進して、カーテンを引きめくって、鎧戸をはねあけた。まず第....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
すから、敬虔な婆さんはすぐに支度をして階下へ降りて、町の方へ出て行きました。夜は
真っ暗で、人家の壁も見えず、暗い空からは何ひとつの光りも見えないのです。そうして....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
寝ていたのか自分にも分からなかった。 二 眼をさました時は、まだ
真っ暗であった。僕は変に不愉快な悪寒がしたので、これは空気がしめっているせいであ....
「水鬼」より 著者:岡本綺堂
くしは急にふらふらと歩き出して、川の堤の上まで行ってみると、その晩も今夜のように
真っ暗で、たった一人、芒のなかに小さい提灯をつけている夜釣りの人がみえたので、そ....
「科学者と夜店商人」より 著者:海野十三
その男は下を向いて何かブツブツと独言を言っていた。多分、電球が切断してこんなに
真っ暗になっているので実験――イヤ商売が出来ないで悲観しているのであろうと、彼科....
「異妖編」より 著者:岡本綺堂
こうと思ったのであるが、それも五、六間あるくうちに吹き消されてしまったので、彼は
真っ暗な風雨のなかを北へ北へと急いで行った。 今と違って、その当時ここらは屋敷....
「くろん坊」より 著者:岡本綺堂
叔父は承知して泊ることになった。寝るときに僧は雨戸をあけて表をうかがった。今夜は
真っ暗で星ひとつ見えないと言った。こうした山奥にはありがちの風の音さえもきこえな....
「真鬼偽鬼」より 著者:岡本綺堂
存じの通りですから、実に歩かれません。」と、藤次郎も言訳らしく言った。「おまけに
真っ暗と来ているので、今の二人はどっちの方角へ行ったのか判らなくなってしまいまし....