真っ黒[語句情報] » 真っ黒

「真っ黒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

真っ黒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
び立つのが手に取るようにあざやかに見えた。眼の下の仲の町には妓楼や茶屋の男どもが真っ黒に集まっていた。 火消しは長ばしごを持ち出して来て、方々から屋根伝いに追....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
》およそ七尺もあろうかと思われる赭《あか》ら顔の大男で、黄牛《あめうし》の皮鎧に真っ黒な鉄の兜をかぶって、手には大きい鉞《まさかり》を持っていた。彼は暴れ馬のよ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
て、半七はそっと表へ出ると、眼のさきに支《つか》えている妙義の山は星あかりの下に真っ黒にそそり立って、寝鳥をおどろかす山風がときどきに杉の梢をゆすっていた。大き....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の得意先を売りあるいていたが、今年|二十歳になる若いものが見得も振りもかまわずに真っ黒になって稼いでいるので、棒手振りの小商いながらもひどい不自由をすることもな....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
と、半七はすこし驚かされた。「なにしろ変なものが飛び込んだものだね。子供のような真っ黒なものかえ」 「お滝はそう云っているんです」と、お浪も腑に落ちないような顔....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
音も絶えて、提灯の火一つもみえなかった。昼から陰っていた大空は高い銀杏のこずえに真っ黒に圧しかかって、稲荷の祠の灯が眠ったように薄黄色く光っているのも寂しかった....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
でも探してみるかな」 「ちげえねえ」と、幸次郎も笑った。 この頃、顔やからだを真っ黒に塗って、なまの胡瓜をかじりながら、「わたしゃ葛西の源兵衛堀、かっぱの伜で....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
俄かに明るくなったように感じただけであったが、雨が晴れてから出てみると、かの柳は真っ黒に焦げて、大木の幹が半分ほども裂けていた。わたしは子供心に戦慄した。その以....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
で、困ったものだと思っていると、たちまち網にかかった物がありました。それは一個の真っ黒な人間で、からだじゅうに長い毛が生えていまして、手をこまぬいて突っ立ってい....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
る。 大水をわたって来る者があるらしいので、李はそっと表をうかがうと、ひとりの真っ黒な、脚のみじかい和尚が水面を浮かんで近寄って来る。それが怪物らしいので、彼....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
汗を流して出てくると、母屋の上には又一つの大きい峰が落ちかかるように聳えていて、真っ黒な大空には銀色の大きい星がかがやいています。桐の葉が山風にざわざわとそよい....
馬妖記」より 著者:岡本綺堂
ていた火縄を振り照らすと、その小さい火に対して相手は余りに大き過ぎるらしく、ただ真っ黒な物が眼のさきに突っ立っているだけで、その正体はよく判らなかった。それと同....
荒蕪地」より 著者:犬田卯
にされ、青々と色づいた山々や、柔かい大空、中腹の段々畑の土がひょこり、ひょこりと真っ黒に、一日ごとに現れ出るのなどを眺めやるたびごとに眼がくらくらしてきて、つい....
橋の上」より 著者:犬田卯
た。橋の欄干を渡らせられ、綾子の柔かい手を感じた頃がめぐって来ていた。圭太は毎日真っ黒になって野良だった。 綾子は町の女学校へ通っているという。そしてさぶちゃ....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
を初めて見せられた。まったくそれは大洪水であった。土間も高土間も桟敷も、人を以て真っ黒に埋められている大入りの盛況に、わたしは少し呆気に取られた位であった。 ....