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「真冬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

真冬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
くし達は、一晩のうちに、何里という道を歩くのです。人力車夫と同じ肉体労働者です。真冬でも、ぐっしょり汗をかきますわ」 ああ、その汗……と、木崎は想い出した。背....
のんきな患者」より 著者:梶井基次郎
感じているのだった。 ある日は吉田はまた鏡を持って来させてそれに枯れ枯れとした真冬の庭の風景を反射させては眺めたりした。そんな吉田にはいつも南天の赤い実が眼の....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
、山が人に与える生命の感じにくらべれば、惨めな幾個かの無機物に過ぎない。 昼は真冬からは著しく延びてはいるけれども、もう夕暮れの色はどんどん催して来た。それと....
深夜の市長」より 著者:海野十三
ろぐろと更けた風なき夜、霏々として真直に降り下る白雪をオーヴァの上に受けて、再び真冬に逢うの想いであった。 僕は何よりも先ず、雁金検事にその夜の出来事の報告を....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
くれました。これがもし春ならば、あの辺は花粉と匂いの海でしょう。しかし、裏枯れた真冬でさえも、あの噴泉と樹皮亭の自然舞台――それが僕に貴女の不在証明を認めさせた....
単独行」より 著者:加藤文太郎
キーを履く。積雪二尺。例の雪崩の出るところはちょっと悪い。あの附近は高山と違って真冬でも温度が高く、かつ南斜面だから太陽の直射でよく雪崩れる。材木坂より上は積雪....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
接廊下伝いに来られるのだが、昨日から今日にかけて非常に気温が低いので、障子の間は真冬のように隙がなかった。 二人の私服に挾まれて、画室衣の青年が黙然と莨を喫ら....
正午の殺人」より 著者:坂口安吾
おいて、アケミさんだけ出てきた。 「先生、シャワーが好きですね」 「そうなのよ。真冬でもやるんですよ。それで皮膚が若々しいのかしら」 アケミさんの顔が曇った。....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
の森は馬洗川をへだてた向こうにあった。私はまわり道してはいられないので、とうとう真冬の川の中にざぶりと浸って、かち渉った。橋も舟もなかったので。時子は島田に結ん....
新春・日本の空を飛ぶ」より 著者:坂口安吾
元旦正午、DC四型四発機は滑走路を走りだした。ニコニコと親切な米人のエアガールが外套を預る。真冬の四千メートルの高空を二〇度の適温で旅行させてくれる。落下傘や酸素吸入器など....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
く生ぬるい谷川であるが、五十鈴川はそれよりもちょッとだけ冷めたい程度で、これなら真冬でもミソギは楽ですよ。中部山岳地帯の谷川ともなれば、真夏でも、五秒間膝から下....
安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
ちの方がもっと悪質きわまる弱い者イジメであろう。泥棒の心配はしなければならぬし、真冬の寒風は吹きこむし、不安や健康を損うような破壊を置き残して、その程度の差押え....
都会の中の孤島」より 著者:坂口安吾
段ずつ用心して降りきると、そこがちょうど台所で、一方は障子を距てて夫婦の部屋だ。真冬のことだし、真夏ですらも我慢して障子をしめておくような夫婦であった。その障子....
大阪の可能性」より 著者:織田作之助
いう人が随分いるらしく、若杉慧氏などは文学修業時代に「暗夜行路」を二回も筆写し、真冬に午前四時に起き、素足で火鉢もない部屋で小説を書くということであり、このよう....
春雪の出羽路の三日」より 著者:喜田貞吉
裸祭のことをここに書き留めておく。一月三十一日のころ年越の晩に行われるので、村民真冬の雪の深い中を、二組に分れて、丸裸でおしあって、恙虫を送るのだという。藁で大....