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「真味〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

真味の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
。どこに行っても取りあいもせず、鼻であしらい、鼻であしらわれ慣れた葉子には、何か真味な力で打ちくだかれるなり、打ちくだくなりして見たかった。それだったのに思い入....
或る女」より 著者:有島武郎
んとかお話がついたのだとばかり思ってましたの」 と女将は怜《さか》しそうな目に真味な色を見せてこういった。倉地は無頓着《むとんじゃく》に「そうさな」といったき....
作物の批評」より 著者:夏目漱石
自然があれば文学でないと云う。あるものは人間交渉の際卒然として起る際《きわ》どき真味がなければ文学でないと云う。あるものは平淡なる写生文に事件の発展がないのを見....
去年」より 著者:伊藤左千夫
忍ぶことのできる恋ならば、それは真の恋ではなかろう。恋の悲しみもそこにある。恋の真味もそこにある。僕の嗜好もそれと同じであるから苦しいのだ。嗜好に熱があるだけ苦....
河明り」より 著者:岡本かの子
「どうぞ、もっと教えて頂戴」と私は云った。 すると、娘ははじめて自分の知識が真味に私を悦ばせるらしいのに、張合いを感じたらしく、口を継いで語った。 「隅田川....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
片隅に退けられて、これより一しきり、鮎は多摩川に限らるるもおかしい。 凡そ鮎の真味は、その肉よりも骨にあるので、噛みしむる口に芳脂の舌ざわり快く、歯に何の骨折....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
を急ごうという気になったのは風流の故ではありません。 なんとなく、今の遊魂の迫真味が、身の毛をよだてるものとなったに相違ない。 こうして二人の風流客が、まも....
関牧塲創業記事」より 著者:関寛
はあらずして却て大幸福なりとすべく、予は大満足として、生活間に於て地獄と極楽との真味を最も能く知れるを以て大に誇る処也。 六月二十七日、土人イカイラン熊の子二頭....
土俗玩具の話」より 著者:淡島寒月
稽えて見ると、後世全く無意味|荒唐と思われる玩具にも、深き歴史的背景と人間生活の真味が宿っている事を知るべきである。アイヌの作った一刀彫の細工ものにも、極めて簡....
昭和二年の二科会と美術院」より 著者:寺田寅彦
ず一人の個人の歌集がおもしろいように個人画家の一代の作品の展覧はいろいろの意味で真味が深い。湯浅氏の回顧陳列もある意味で日本洋画界の歴史の側面を示すものである。....
愛の問題(夫婦愛)」より 著者:倉田百三
映画俳優たちのように、夫婦の離合の常ないのはなるほど自由ではあろうが、夫婦生活の真味が味わえない以上は人生において、得をしているか、失っているかわからない。色情....
学生と先哲」より 著者:倉田百三
巻をつくって、弟子日向に持たせて房州につかわし、墓前に読ましめ「花は根にかえる。真味は土にとどまる。此の功徳は故道善房の御身にあつまるべし」と師の恩を感謝した。....
偶言」より 著者:津田左右吉
ゆる上品な、さっぱりした趣味のみを将来に期待するのは大なる誤りである。 芸術の真味は高い趣味を有っている少数人のみに解せられる。芸術は貴族的(無論思想上の意味....
鮎を食う」より 著者:北大路魯山人
ほんとうの美味さを知ろうたって、そりゃ少々無理ってものである。つまり、東京で鮎の真味を望むのは、木に拠って魚を求むるようなものである。 また、獲り方の如何で味....
数の子は音を食うもの」より 著者:北大路魯山人
う意味において、数の子も口中に魚卵の弾丸のように炸裂する交響楽によって、数の子の真味を発揮しているのである。それゆえ、歯のわるい人には、これほどつまらないものは....