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「真率〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

真率の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
姿を見ると、良雄《よしかつ》に代って、微笑しながらこう云った。伝右衛門の素朴で、真率《しんそつ》な性格は、お預けになって以来、夙《つと》に彼と彼等との間を、故旧....
或る女」より 著者:有島武郎
事務長にもそれを許してくれるように頼んでもらいたい。という事が、少し甘い、しかし真率《しんそつ》な熱情をこめた文体で長々と書いてあったのだった。 葉子は木村が....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
。ともかく君はかかる内部の葛藤の激しさに堪えかねて、去年の十月にあのスケッチ帳と真率な手紙とを僕に送ってよこしたのだ。 君よ。しかし僕は君のために何をなす事が....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
う」 むす子に対する憧れが突然思いもかけぬ胸の中の別の個所から厳粛というほどの真率さでもって突き上げてきた。そしてその感情と、この眼の前の媚かしい青年に対する....
蘆声」より 著者:幸田露伴
分の抱いていた感想は全く誤っていて、この少年もまた他の同じ位の年齢の児童と同様に真率で温和で少年らしい愛らしい無邪気な感情の所有者であり、そしてその上に聡明さの....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
の鋭敏と官能の豊富とに微かな気息を洩らして、感情生活の侵蝕に甘んずるにはあまりに真率であった。現実生活をしていっそうよきものたらしめんがために自然力の偉大を悟り....
鵞鳥」より 著者:幸田露伴
せて、奥様らしく気取って挨拶するようなことはこの細君の大の不得手で、褒めて云えば真率なのである。それもその道理で、夫は今でこそ若崎先生、とか何とか云われているも....
小公女」より 著者:菊池寛
ミンガアドの声は、いつか仲よしになってちょうだいといった時の通り、人なつっこく、真率でした。この数週間の間、よそよそしくするつもりなんか、ちっともなかったのに、....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
やも」と強く結んで、全体を統一しているのは実に驚くべきで、この力量は人麿の作歌の真率的な態度に本づくものと自分は解して居る。人麿は初期から斯ういう優れた歌を作っ....
地上」より 著者:島田清次郎
ますのよ――」と冬子ははじめた。彼女は伏目になって、言葉の切れ目切れ目に平一郎を真率に見上げた。 「こんなことを言わなくても平一郎さんは何もかも承知していらっし....
瘠我慢の説」より 著者:木村芥舟
、座敷の真中に摺鉢に鰯のぬたを盛り、側らに貧乏徳利二ツ三ツありたりとて、大にその真率に驚き、帰りて家人に告げたることあり。 先生は白皙長身、一見して皆その偉人....
三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
ておる。 が、沼南の応対は普通の社交家の上ッ滑りのした如才なさと違って如何にも真率に打解けて対手を育服さした。いつもニコニコ笑顔を作って僅か二、三回の面識者を....
二葉亭四迷」より 著者:内田魯庵
葉亭のいうのは恐らくこの意味ではないので、二葉亭は能く西欧文人の生涯、殊に露国の真率かつ痛烈なる文人生涯に熟していたが、それ以上に東洋の軽浮な、空虚な、ヴォラプ....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
醜怪の中に偉大な、力のある趣が見える。 なんだか前途の幸運が予想せられる。 この真率な一目は己に何を想い出させるだろう。 (スフィンクスにつきて云ふ。) 昔....
」より 著者:シュミットボンウィルヘルム
眺めている。その歩き付きを見る。その靴や着物の値ぶみをする。それをみな心配げな、真率な、忙しく右左へ動く目でするのである。顔は鋭い空気に晒されて、少なくも六十年....