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真白
「真白〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
真白の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
通りは見えなかった。
「K君はどうするの?」
「僕はどうでも、………」
そこへ
真白い犬が一匹、向うからぼんやり尾を垂れて来た。
二
K君の東京へ帰....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
慮なく進んで行った。見渡す大空が先ず雪に埋められたように何所《どこ》から何所まで
真白になった。そこから雪は滾々《こんこん》としてとめ度なく降って来た。人間の哀れ....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
とに手伝われながら、火を起したり、湯を沸かしたり、使を走らせたりした。産婆が雪で
真白になってころげこんで来た時は、家中のものが思わずほっと気息《いき》をついて安....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
り仕方がありませんでした。
「そんなら又あげましょうね。」
そういって、先生は
真白《まっしろ》なリンネルの着物につつまれた体《からだ》を窓からのび出させて、葡....
「火事とポチ」より 著者:有島武郎
は井戸《いど》ばたに立って、あたりをながめまわしていた。ほんとうに井戸がわまでが
真白《まっしろ》になっていた。
橋本さんで朝御飯《あさごはん》のごちそうになっ....
「星座」より 著者:有島武郎
に移した。乾いたかすかな音が、そのたびごとに清逸の耳をかすめて、蝿の元いた位置に
真白く光る像が残った。それが不思議にも清逸の注意を牽《ひ》きつけたのだ。戸外《お....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
其の方を向くと船渠の黒い細い煙突の一つから斜にそれた青空をくっきりと染め抜いて、
真白く一団の蒸気が漂うて居る。ある限りの煉瓦の煙突からは真黒い煙がむくむくと立ち....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
る道に、巌角ほどの人影もなし。 不忍へ渡す橋は、玉の欄干を築いて、全山の樹立は
真白である。 これは――翌年の二月、末の七日の朝の大雪であった。―― 昨夜、....
「橋」より 著者:池谷信三郎
うとおもっています。 12 明るい街を、碧い眼をした三人の尼さんが、
真白の帽子、黒の法衣の裾をつまみ、黒い洋傘を日傘の代りにさして、ゆっくりと歩いて....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
たかと思う、汚い服装の、小さな婆さんがね、よぼよぼと出て来たんです。 髪の毛が
真白でね、かれこれ八十にもなろうかというんだけれど、その割には皺がないの、……顔....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
お爺さんの人相書をもう少しくわしく申上げますなら、年齢の頃は凡そ八十|位、頭髪は
真白、鼻下から顎にかけてのお髭も
真白、それから睫毛も矢張り雪のように
真白……すべ....
「梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
をして銭を貰うもの――これは評判が好くて長続きした。半身肌脱ぎになって首から上へ
真白に白粉を塗って、銭湯の柘榴口に見立てた板に、柄のついたのを前に立て、中でお湯....
「久米正雄」より 著者:芥川竜之介
……新しき時代の浪曼主義者は三汀久米正雄である。「涙は理智の薄明り、感情の灯し火」とうたえる久米、
真白草花の涼しげなるにも、よき人の面影を忘れ得ぬ久米、鮮かに化粧の匂える妓の愛想....
「活人形」より 著者:泉鏡花
に取乱せり。露垂るばかりの黒髪は、ふさふさと肩に溢れて、柳の腰に纏いたり。膚の色
真白く、透通るほど清らかにて、顔は太く蒼みて見ゆ。ただ屹としたる品格ありて眼の光....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
きました。三人が村を出た時は、まだ河の流れに朝霧がかかって、河原の石の上には霜が
真白に下りていました。 「今日も、はあお天気になるべいてや。」 と伊作が橋を渡り....