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「真綿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

真綿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
からないことだった。 清逸は寝たまま含嗽《うがい》をすると、頸に巻きつけている真綿の襟巻を外《はず》して、夜着を深く被った。そして眼をつぶって、じっと川音に耳....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
》じりじりと来そうな頃が、近山曇《ちかやまぐも》りに薄《うっす》りと雲が懸って、真綿《まわた》を日光に干《ほ》すような、ふっくりと軽い暖かさ。午頃《ひるごろ》の....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
|度馴れると見るうちに、崖をなぞえに、上町の樹の茂りの中へ飛んで見えなくなった。真綿を黄に染めたような、あの翼が、こう速に飛ぶのに馴れるか。かつ感じつつ、私たち....
深夜の市長」より 著者:海野十三
らなかった。この上は防弾チョッキだと思ってそれを外してみた。防弾チョッキの裏は、真綿で蔽ってあったが、よく調べてみると、丁度胸骨の当るところに、小さなポケットが....
春の上河内へ」より 著者:板倉勝宣
坂の上の林が影をうすく投げていた。自分は白い息を吹いて見ながら懐炉に火をつけて、真綿と一緒に膝に巻いた。再び寝ようとすると、閉じたまぶたに月の光を感じて、ちょっ....
天守物語」より 著者:泉鏡花
へ……この中へ―― 図書 や、金城鉄壁。 夫人 いいえ、柔い。 図書 仰の通り、真綿よりも。 夫人 そして、確かり、私におつかまりなさいまし。 図書 失礼御免。....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
目の前に近いから、遠い山も、嶮しい嶺も遮られる。ために景色が穏かで、空も優しい。真綿のように処々白い雲を刷いたおっとりとした青空で、やや斜な陽が、どことなく立渡....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
むけに背ののめった手が腕のつけもとまで、露呈に白く捻上げられて、半身の光沢のある真綿をただ、ふっくりと踵まで畳に裂いて、二条引伸ばしたようにされている。――ずり....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
暖めて参りました。母も胸へ着けましたよ。」 「ええ!」と思わず、皺手をかけたは、真綿のようなお町の手。 「親御様へお心遣い……あまつさえ外道のような老人へ御気扱....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
掠れて、明さまには見えない筈の、扱いて搦めた縺れ糸の、蜘蛛の囲の幻影が、幻影が。真綿をスイと繰ったほどに判然と見えるのに、薄紅の蝶、浅葱の蝶、青白い蝶、黄色な蝶....
露肆」より 著者:泉鏡花
師のように、びょろりとした黒紬の間伸びた被布を着て、白髪の毛入道に、ぐたりとした真綿の帽子。扁平く、薄く、しかも大ぶりな耳へ垂らして、環珠数を掛けた、鼻の長い、....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
、俯向にもする、一つくるりと返して、ふわりと柔くまた横にもしよう。水々しい魚は、真綿、羽二重の俎に寝て、術者はまな箸を持たない料理人である。衣を透して、肉を揉み....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
ある。お医師を煩わすほどでもなかった。が、繃帯した手に、待ちこがれた包を解いた、真綿を幾重にも分けながら。 両手にうけて捧げ参らす――罰当り……頬を、唇を、と....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
―中に――」 筆者は思わず問返した。 「中に何だかあるんです。チリン、チリンと真綿に包まった、微妙な鈴のような音がしました。ああ、女神の簪の深秘に響くというの....
式部小路」より 著者:泉鏡花
した時、目を眠っているお夏さんの、艶麗なのを見て、こりゃ、薬や繃帯をなさるより、真綿で包んで密として置く方が可いッて、真面目にいった。 もっとも夢のようだとい....