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真菰
「真菰〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
真菰の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
道《あぜみち》に敷ならべたスリッパ材はぶかぶかと水のために浮き上って、その間から
真菰《まこも》が長く延びて出た。蝌斗《おたまじゃくし》が畑の中を泳ぎ廻ったりした....
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
逢った。 その晩は星の多い夜であった。仲の町の両側に隙き間もなく積み重ねられた
真菰《まこも》や蓮の葉には初秋の涼しい露が流れて、うるんだ鼠尾草《みそはぎ》のし....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
ころかなり大きい湖水である。水も清く周囲の岡も若草の緑につつまれて美しい、渚には
真菰や葦が若々しき長き輪郭を池に作っている。平坦な北上総にはとにかく遊ぶに足るの....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
かった。 雷を罵る 呉興の章苟という男が五月の頃に田を耕しに出た。かれは
真菰に餅をつつんで来て、毎夕の食い物にしていたが、それがしばしば紛失するので、あ....
「試験管」より 著者:寺田寅彦
って街路へおりて見ると、なるほどきょうは盆の十三日で昔ながらの草市が立っている。
真菰の精霊棚、蓮花の形をした燈籠、蓮の葉やほおずきなどはもちろん、珍しくも蒲の穂....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
、私はお稲です。」 紳士は、射られたように、縁台へ退った。 美しい女の褄は、
真菰がくれの花菖蒲、で、すらりと筵の端に掛った…… 「ああ、お稲さん。」 と、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
て直しました。 舟は満々たる水の中を辷《すべ》り行く。忽《たちま》ち前後左右を
真菰《まこも》で囲まれたかと思うと、一路が開けて、一水が現われる。不意に
真菰のう....
「正覚坊」より 著者:豊島与志雄
言ってきかして、その晩二人で大きな石を沼の中に沈め、正覚坊は沼の岸辺《きしべ》の
真菰《まこも》の中に隠れました。 翌日になると、村の漁夫達《りょうしたち》は朝....
「鯉」より 著者:岡本綺堂
いで、座敷には台ランプがともされていた。二階の下には小さい枝川が流れていて、蘆や
真菰のようなものが茂っている暗いなかに、二、三匹の蛍が飛んでいた。 「忘れもしな....
「黄泉から」より 著者:久生十蘭
あったので、祖母が生きているころまでは、お盆のまつりはなかなか派手なものだった。
真菰《まこも》の畳を敷いてませ垣をつくり、小笹の藪には小さな瓢箪と酸漿《ほおずき....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
れた。越後の縮売の若い者も殺された。それから京の旅画師に小田原の渡り大工。浮島の
真菰大尽の次男坊も引懸ったが、どれも三月とは持たなかった。あれが世にいう悪女の深....
「愛の為めに」より 著者:甲賀三郎
は三年前今の妻と恋に陥ちた。妻は当時あるカフェの女給をしていた。彼女はほんとうに
真菰の中に咲く菖蒲だった。その顔があどけなく愛くるしいように、気質も優しくて、貞....
「平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
殺しがあった。 藪下《やぶした》から根津神社へ抜ける広い原に、夏期《なつば》は
真菰《まこも》の生いしげる小さな沼がある。 その沼の畔《ほとり》から小半町《こ....
「巣離れの鮒」より 著者:佐藤垢石
を並べてもいいが、能率的であるのはヅキ式の探り釣りである。巣から離れた鮒は枯れた
真菰の根などを緩やかに移動しているから釣る人も鮒の遊ぶ場所を探りながら移動して行....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
の中でもアヤメ咲く ふるくから人口に膾炙した俚謡に「潮来出島《いたこでじま》の
真菰《まこも》の中であやめ咲くとはしほらしや」というのがある。今この原謡を『潮来....