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「真際〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

真際の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
たかったろう。嫁に往ってしまっては申訣がなく思ったろうけれど、それでもいよいよの真際《まぎわ》になっては僕に逢いたかったに違いない。実に情ない事だ。考えて見れば....
道草」より 著者:夏目漱石
さえ起さなかった。 健三は黙って外へ出て、例の通り仕事をした。しかしその仕事の真際中に彼は突然細君の病気を想像する事があった。彼の眼の前に夢を見ているような細....
雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
らはしてくれるなよ――って、涙をボロボロ流しやあがったよ。それでも、息を引きとる真際《まぎわ》まで、うれしそうに、おれの両手を握りしめていたが――その顔は、今も....
惜別」より 著者:太宰治
っそり取り出してその名文を愛誦し、遠く離れた周さんをなつかしんだものだが、卒業|真際に、ある学友から取り上げられてしまって、いま思うと実に惜しいのである。それは....
不思議なる空間断層」より 著者:海野十三
ないようにして、静かに奥の、大鏡の方へ歩いていった。 乃公はいつの間にか、鏡の真際に寄って立っていた。鏡をとおして二人の男女の様子を見ると、彼等は身体と身体を....
今戸心中」より 著者:広津柳浪
てしがない。その考えは平田の傍に行ッているはずの心がしているので、今朝送り出した真際《まぎわ》は一時に迫って、妄想《もうぞう》の転変が至極|迅速《すみやか》であ....
端午節」より 著者:井上紅梅
は当然ですから、そういうことにおしなさい、とすぐにわたしを弾き出した」 「節句の真際になって金を借りに行ったって、誰が貸すもんですか」 方太太は当りまえのよう....
運命のSOS」より 著者:牧逸馬
てしまった。この連中は、新たに雇い入れた火夫である。遅れて来たのだ。こうして出帆真際まで姿を現さないので、船では至急に代りの者を乗り込ませて、彼らは既に地位を失....
妖怪学」より 著者:井上円了
の静定するを待ち、良心の水底に真理の月影を観見せざるべからず。これ、我人の理想の真際に接触せるときなり。余は、この理想の本体を真の大妖怪というなり。もしまた、我....
」より 著者:正岡子規
師遍照金剛と吠《ほ》えながら駈け廻った、八十七個所は落ちなく巡って今一個所という真際《まぎわ》になって気のゆるんだ者か、そのお寺の門前ではたと倒れた、それを如何....