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「真鯉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

真鯉の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
おれは江戸川のむらさき鯉を一度食ってみたいと云い出した者がある。いやなに、普通の真鯉でも紫鯉でも別段に変りはあるまいという者もある。それが昂じて高山も、物はため....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
のであった。 肱掛窓の外が、すぐ庭で、池がある。 白雪の飛ぶ中に、緋鯉の背、真鯉の鰭の紫は美しい。梅も松もあしらったが、大方は樫槻の大木である。朴の樹の二|....
ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
ちからも、こっちからも金の胸にぶら下るのだ。まるで一つの麩を目懸けて、沢山の緋鯉真鯉がお互に押しのけながら飛びついてくるかのように。 そのときに金はどんな顔を....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
にその池の掻掘りをはじめると、水の深さは一丈を越えていて、底の方から大小の緋鯉や真鯉が跳ね出して来たが、そのほかにはこれというような掘出し物もなかった。お葉のさ....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
ったので、青々した寒竹の茂みから燈籠の灯に透けて見えるのも涼しげであった。無数の真鯉緋鯉が、ひたひた水の浸して来る手摺の下を苦もなげに游泳していた。桜豆腐、鳥山....
厨房日記」より 著者:横光利一
終日そこから動かなかった。驟雨がときどき岩庭に降り込んだ。彼は泉石の間から端正な真鯉の躍り上るのを眼にしながら何をするでもなかった。このようなとき、四つの子供が....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
づくること学ぶなるべし。 菖蒲の節句は男の節句、矢車のカラカラと高笑いする空に真鯉、緋鯉、吹流しの翻るも勇ましく、神功皇后、武内大臣の立幟、中にも鍾馗の剣を提....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ゾッとしました」 「…………」 「そうしているうちに、そのお池ではいちばん大きな真鯉《まごい》、二尺もあろうというのが、眼の前で、ピンと水を切って飛び上りました....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
薄で取廻し、大根畠を小高く見せた周囲五町ばかりの大池の汀になっていて、緋鯉の影、真鯉の姿も小波の立つ中に美しく、こぼれ松葉の一筋二筋|辷るように水面を吹かれて渡....
崖下の池」より 著者:豊島与志雄
少の器物は、いつのまにか、すっかり拾いあげられましたし、また、以前からいた緋鯉や真鯉や鮒の類は、それも僅かではありましたが、いつのまにか、捕獲されてしまっていま....
ヘヤーピン一本」より 著者:豊島与志雄
メント造りの大きな池があり、どういう仕掛けか水がちょろちょろ注いでいて、みごとな真鯉がいくつも泳いでいた。 その池のところへ行って、俺は鯉を眺めた。そしてそこ....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
の池に、錦の帯の八橋を、転げた上で泳ぐがごとき、大それた溺れよう。肝魂も泥亀が、真鯉緋鯉と雑魚寝とを知って、京女の肌を視て帰って、ぼんやりとして、まだその夢の覚....
手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
眼でも鱗でも鰭でも皆|手描でありまして、割筆の用い方など妙を得たものであります。真鯉と緋鯉とがありまして、あるいは布であるいは紙で作り、大きいのになりますと長さ....
ある完全犯罪人の手記」より 著者:酒井嘉七
は不適当な土地らしい。 ○月 ○日 今日は端句である。紺碧の空をあちらこちらに真鯉緋鯉が大空をわがもの顔に遊 する。はるか向うの青葉の美しい辺りに、真鯉二匹を....