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眠たい
「眠たい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
眠たいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
は主人の許しを受けて、兼輔と一緒に法性寺へ参詣した。 その日は薄く陰っていて、
眠たいような空の下に大きい寺の甍《いらか》が高く聳えていた。門をくぐると、長い石....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
まだ寝ている叔父をとうとう呼び起した。叔父は天気などはどうでも好いと云ったような
眠たい眼をして、空と海を一応見渡した上、なにこの模様なら今にきっと晴れるよと云っ....
「行人」より 著者:夏目漱石
に履物《はきもの》の音を響かして行った。空には星の光が鈍《にぶ》かった。あたかも
眠たい眼をしばたたいているような鈍さであった。自分は不透明な何物かに包まれた気分....
「藁草履」より 著者:島崎藤村
》として、沈まり返って、休息《やす》んでいるらしい。露深い草のなかに鳴く虫の歌は
眠たい音楽のように聞える。親子は、黄ばんだ光のさすところへ出たり、暗い樹の葉の蔭....
「河明り」より 著者:岡本かの子
世界に唐突に移された生物の、あらゆる感覚の蓋を開いて、新奇な空気を吸収する、その
眠たいまでに精神が表皮化して仕舞う忘我の心持ちに自分を托した。一つにはこの庭と茶....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
それは「待つ夜のロング」と言わねばならない。「猫撫で声」というような文句ももはや
眠たいとされるようになった。どうしてもそれは「キャット撫で声」と言わねば人を驚か....
「家」より 著者:島崎藤村
を突いて湧き上って来ることも有った。 「好い児だ――好い児だ――ねんねしな――」
眠たい子守歌をお房に歌ってやりながら三吉は自分の声に耳を澄ました。お雪はよく働い....
「軽井沢」より 著者:寺田寅彦
野の代わりに、一々土地台帳の区画に縛られた水稲、黍、甘藷、桑などの田畑が、単調で
眠たい田園行進曲のメロディーを奏しながら、客車の窓前を走って行くのである。何々イ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
、ふっと見ると、昨夜此処に寝たと見えて、一人の古い印半纏を着た四十ばかりの男が、
眠たい顔して起き上り、欠伸をして往って了うた。
一般的乞食の外に、特別名指しの....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
通して来たけれど、さして眠いとも思わず、またさして疲労も感じないのに、弁信さんの
眠たいことと、疲れっぷりは随分ひどいと、今更のようにながめました。しかし、自分は....
「恢復期」より 著者:堀辰雄
があった。――その時の症状が思い出されてならないほど、この頃の彼はひっきりなしに
眠たい。すこし我慢して起きていると眠気で床の上に倒れそうになる。病院での睡眠不足....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
て、星の光と草履の音との交錯する中を、默りこくって老人のあとについて歩いた。 「
眠たいかの。」 「…………」 「こけるといけない。手をつないでやろう。」 次郎....
「ヤトラカン・サミ博士の椅子」より 著者:牧逸馬
つまり、それほど自家化している、英吉利旦那《イギリスだんな》のことばを、例のうす
眠たい東洋的表現とともに、ふわりと、じつにふわありと投げかけた。 「旦那《マスタ....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
離れがしておらぬ。つまり、道具の拵え方が鈍くて、水ばなれがしないので、何んとなく
眠たい感がある。これが惜しいと思いました。これは地方の作家のことでやむをえないが....
「ねむい」より 著者:神西清
這いこんだり、脳みそを曇らせたりするものはない。が、あいかわらず眠い、おそろしく
眠たい! ワーリカは頭を揺りかごのふちにもたせ、なんとか眠気に勝とうとして、胴な....