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眥
「眥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
眥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
た所へ、漂うごとくぼんやり止りましたが、たちまちそのどろりとした煤色の瞳が、斜に
眥《まなじり》の方へ寄ったそうです。その上不思議な事には、この大きな眼が、往来を....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
亥《しゅがい》を虎|圏《おり》の中に著《お》いた時亥目を瞋《いか》らし虎を視るに
眥《まなじり》裂け血出|濺《そそ》ぐ、虎ついにあえて動かず。『周書』に楊忠周太祖....
「弟子」より 著者:中島敦
、意味も無く子路の前に頭を下げてから人垣《ひとがき》の背後に身を隠《かく》した。
眥《まなじり》を決した子路の形相《ぎょうそう》が余りにすさまじかったのであろう。....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
した女丈夫《じょじょうぶ》、しかも気を使ッて一飯の恩は酬《むく》いぬがちでも、睚
眥《がいさい》の怨《えん》は必ず報ずるという蚰蜒魂《げじげじだましい》で、気に入....
「広場」より 著者:宮本百合子
真面目さ」 朝子は困惑した顔つきで黙っていた。その顔をじっと見ていて、オリガの
眥《まなじり》に皺のある大きい眼に思いやりの柔かみが浮んだ。 「それで――もう決....
「骸骨の黒穂」より 著者:夢野久作
来た。自分では三十二と云っていたが、二十七八ぐらいにしか見えなかった。切れ上った
眥と高い鼻筋が時代めいて、どことなく苦味の利いた細長い顔が、暗い店の中からニッコ....
「鉄面皮」より 著者:太宰治
、出るところへ出れば相当の男なんだ、という事を示そうとして、ぎゅっと口を引締めて
眥を決し、分会長殿を睨んでやったが、一向にききめがなく、ただ、しょぼしょぼと憐憫....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
えが、わっしに首をおくんなさい」 「貴様は辰だな!」 槍を掴《つか》んだ伊東の
眥《まなじり》が裂ける。こいつは、先頃まで、自分が引立てて馬丁をさせて置いた辰公....
「今戸心中」より 著者:広津柳浪
、平田の羽織を顔へ当てて伏し沈んでいる。平田は上を仰《む》き眼を合《ねむ》り、後
眥《めじり》からは涙が頬へ線《すじ》を画《ひ》き、下唇《したくちびる》は噛まれ、....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
ったのだ。 海気に焼け切った、横蔵の精悍そのもののような顔――鋭く切れ上がった
眥、高く曲がった鼻、硬さを思わせる唇にもかかわらず、その髪は、豊かな大たぶさにも....
「吊籠と月光と」より 著者:牧野信一
見ると彼の真ん丸に視張《みは》って僕の顔を眼《ま》ばたきもしないで見詰めている眼
眥《めじり》から、忽《たちま》ちコロコロと球のような涙が滾《まろ》び出て、と突然....
「花子」より 著者:森鴎外
日本人はその男の耳までしかないのである。 ロダンの目は注意して物を視るとき、内
眥に深く刻んだような皺が出来る。この時その皺が出来た。視線は学生から花子に移って....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
と、喘《あえ》いでいる。 ひどく、妙なようすだ。 頭から濡れしずくになって、
眥《まなじり》が張りさけんばかりにクヮッと眼をむき、なにか、眼に見えぬ水中の敵と....
「九代目団十郎の首」より 著者:高村光太郎
肥え、上眼瞼は美しく盛り上って眼瞼軟骨の発達を思わせる。眼瞼の遊離縁も分厚く、内
眥外
眥の釣合は上りもせず下りも為ない。そして涙湖、涙阜が異様な魅力を以て光ってい....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
かなくなったと思うと、間もなく、大きな眼の中から押し出すように涙があふれ出て来て
眥《めじり》から顳※《こめかみ》のほうへゆっくりと下ってゆく。茜さんの咽喉の奥か....